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「 んっ！？ っ、んむ 」
抵抗しても力で適うはずもない。グイグイと押されて私は数分前と同じように壁際に追い詰められてしまった。ディルックは私の手を壁に縫い付けると、何度も何度もキスを落とす。もう片方の手は私の後頭部に回されている。
大きく開いた瞳から生理的な涙が零れる。キスなんて初めてで、呼吸の仕方が分からなかった。
ディルックは目を閉じていて、長い睫毛がふるふると震えていた。ゆっくりと瞼が持ち上げられて姿を見せた紅の瞳は、私と同じくらい辛そうに細められている。
「 ディ… 」
名前を呼ぶ隙も与えられない。空いている方の手で精一杯 胸を押し返そうとするも、ピクリともしなかった。
どれくらいそうしていたか分からないが、ようやく解放されたころには私は自力で立つ力も残っていなかった。ヘナヘナとその場に座り込んではあはあと荒い呼吸を繰り返す。口元に垂れている唾液を拭うことも出来なかった。
「 ……君にどれだけ警戒心が備わっていないか分かっただろう 」
「 はぁ、っ、はあ、はあ 」
酷すぎる。私に分からせるためだけに無理矢理こんな真似をするなんて。ずっとディルックは優しくて、強くて、誰よりも素敵な人だと思っていたのに。私はディルックだから、ガイアだから、信用している相手だからこそ心を許している。誰にだってホイホイ着いていくわけではない。
ディルックは手の甲で口元を拭うと、その場にしゃがみこんで私と視線を合わせた。そして耳元に口を寄せると、身体の奥底にまで響かせるように囁いた。
「 それで。君はこのままこの部屋にいたらどうなるか分かるか？ …僕は何をするか分からないよ 」
「 ！ 」
私はディルックの肩を押し返し、足をもつれさせながら部屋の外に飛び出した。「 あれ、A？ 」廊下でモコとすれ違ったが、今は返事をする気になれない。
逃げるように自室に入ると、私はドアに背中を預けてズルズルと座り込んだ。膝を抱えて顔を埋める。ディルックに言われたことが、されたことがショックでたまらないのに、唇に残る熱は消えてくれない。私は明日からどうしたらいいんだろう。
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杏仁豆腐のスプーンになりたい - 続きすんごい気になる……更新頑張ってください…！ (4月29日 1時) (
レス) @page49 id: 6ae8607e98 (このIDを非表示/違反報告)
杏仁豆腐のスプーンになりたい - 流石に可愛すぎる (4月29日 0時) (レス) @page7 id: 6ae8607e98 (このIDを非表示/違反報告)
しゅた - 本当に面白いです！！きゅんきゅんして見てます！！！更新頑張ってください！ (2023年2月13日 12時) (レス) id: 7bb104c929 (このIDを非表示/違反報告)
りり(プロフ) - 楓さん» うわあ！お返事遅くなりました！ありがとうございます！！その辺も書いてきますよ〜✍🏻 (2022年12月29日 19時) (レス) @page38 id: adb855f002 (このIDを非表示/違反報告)
楓(プロフ) - ダァッ！！！！続きが気になります、、、主ちゃん一体何者なんだ、、 (2022年12月11日 13時) (レス) @page45 id: 4c22f265eb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りり | 作成日時：2022年11月21日 3時
