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Existence2 ページ2

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「げぇ、気色悪いこと云わないでよ」



心底厭そうに顔を顰めた。少年が歩くと肩に乗せただけの外套はひらりと揺れた。


長い睫毛で縁取られた鳶色の瞳、筋の通った鼻、潤いを帯びた唇。
顔半分が包帯で覆われているのが残念だが、かなりの美少年である。



思わず、ごくりと生唾を飲み込んだ。
ただ一つ勘違いしないで欲しい。
そういう趣味は無いと断言しよう。
これはある種の職業病(・・・)だ。



「森さん、この人は?」



少年は怪訝そうに青年を見上げた。アッシュグレーの髪に金色の瞳、へらりと緩い表情をした青年の様子が()に合わなかったからだろう。



「初めまして。君が噂の“太宰クン”かな?」



少年の目線に合わせて屈むと、子供扱いされたことが不服だったのか、少年はぷいと顔を逸らし、薬品が並んだ棚から小瓶を二つ三つ取り出した。



「それを飲んでも楽には(・・・)死ねないよ」



少年の動きがはたと止まる。視線が「如何して」と訴えかける。青年は優しく微笑んだ。



自 殺未遂の少年が担ぎ込まれたことは森から聞いていた。その少年が自 殺未遂を繰り返していることも。



包帯だらけの体は自 殺未遂の賜物に違いない。小瓶を一つではなく二つ三つ取り出したのも調合すれば、楽に死ねる(・・・・・)と考えたからだろう。



「森先生の弱点の一つでも教えてくれたら、楽な死に方教えてあげるよ!」



「一寸、伊藤君。太宰君に変な事吹き込まないで!?」



“伊藤君”と呼ばれた青年はからからと楽しそうに笑った。



森がまだ“闇医者”と呼ばれていた頃からの知り合いであり、当時から森をよく揶揄(からか)っていた。



森と同じく医療従事者かと云えば、そうではない。医療行為を行える(・・・)というだけの理由で森の診療所に入り浸っていた。



青年の名は伊藤(せい)
アッシュグレーの髪に金色の瞳をもつ。
年齢不詳、住所不明。



趣味は本屋巡りと料理。



特技は______EM(エンバーミング)
別名“遺体衛生保全”



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一言日記

髪伸びてきたな、自分で切ろうかな。


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歌恋 - 続きが楽しみです!お話が自分の性癖にドストライクでした… (12月31日 20時) (レス) @page13 id: 48a7de9cc2 (このIDを非表示/違反報告)
Ashar(プロフ) - 姫歌さん» 姫ちゃんお久しぶりです! ありがとう! 色々落ち着いたからまた細々更新していきます〜! (2019年8月14日 17時) (レス) id: 1b24626048 (このIDを非表示/違反報告)
姫歌(プロフ) - おひさしぶりです。相変わらず最高でした! (2019年8月3日 18時) (レス) id: d8a4d97043 (このIDを非表示/違反報告)
Ashar(プロフ) - 小太刀さん» わぁい! ありがとうございます!! (2019年6月2日 17時) (レス) id: 1b24626048 (このIDを非表示/違反報告)
小太刀 - え、かっこいい好き (2019年6月2日 14時) (レス) id: 5299f2ee2b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Ashar | 作成日時:2019年6月2日 0時

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