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Aside
…何を、考えたんだ私は。
名前くらいはいいかも、なんて。
一つ許してしまえば、きっと今の態度は保てなくなるのに。
乱れた息を整え、気持ちもついでに落ち着かせて。
自分のデスクへ戻ると社内メールが来ていて、内容を確認する。
FROM .渡辺翔太
やっほーA。
今日ヒマ？メシいこ。
なんとも短絡的な文に、翔太らしいなと小さく笑う。
私も特に予定はなかったので、了解の返事を送った。もちろん、社内メールを使うな！と注意を添えて。笑
.
午後6時過ぎ。
翔太を待つ私の上に、何やら黒い影が。
パッと上を向くと、
『…後輩クン』
「どーも。Aさん。」
あと俺は目黒です、そう言って笑う彼。
『何』
「ご飯でもどーかなって」
…はぁ。
『ほんと、懲りないよね』
「諦めが悪いのが俺のいいとこなんで」
『…』
やっぱり、掴めない。
『ま、とにかく！今日は無理だから。』
「なんで」
『お前敬語も使わないとか私の事舐めてるだろ』
「気のせいっすよAさん」
『おい』
なんなんだ、コイツは。
『はぁ、』
また、今日何度目か分からない溜め息を吐く。
「で、なんでっすか」
『先約あるから』
「いつもそれじゃないっすか」
『今日はほんと、翔太とご飯なの』
あーやっぱいつもの嘘ってバレてたかぁ、
そんな事を思っていると。
「…翔太、翔太って。 そんなに翔太さんが好きですか」
『は？何言って』
「だって、なんかある度に翔太さんの名前ばっかじゃないすか」
「部署も違うのにめちゃくちゃ仲良いし、お互いに名前呼びだし… 」
どんどん声が小さくなっていく目黒。
…なんだか、いつもより弱気に見えて。思わず、
目黒の頭を撫でていた。
.
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作者名：coral | 作成日時：2020年3月1日 21時
