【東卍】花垣兄,通称”族潰し”

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山岸「そういや,今日だったよな……」


山岸の一言でさっきまで俺たちの明るい声で溢れていた教室が一気に静かになる。


アッくん「……今日のファイター武道だってよ。」


そっか,俺か。
今日の”喧嘩賭博”のファイター。


武道「…おう！やってやるよ！だからそんなドンヨリすんなって！」

みんなが暗くなってしまったので俺は笑顔でみんなにそう言ってみた。けど,逆効果だったみたい。

俯いたまま山岸が呟いた。


山岸「あーぁ。族潰しが喧嘩賭博潰してくれればいいのに……」


その言葉は俺達にはハッキリと聞こえた。


* * *
side.A

『……』

タバコを口にくわえながら俺はある所へと向かっていた。

右手には俺に似合わない綺麗な花とコンビニで買ったビール缶と作ってきたおにぎりが入っているビニール袋がぶら下がっていた。


実家に早く帰って久しぶりに武道や母さんと話がしたいが,それよりも大切な用が合った。


『……ね,真一郎。ただいま』


お墓の前に俺はしゃがんだ。
その墓には”佐野真一郎”と刻まれている。


『ねぇ,真一郎。もう俺さ,四捨五入したら30だよ？ありえないよね。』


真一郎に話しかけながら俺はビールとおにぎりを目の前に置く。


『それとさ,まだやってるよ。”族潰し”。本当に,四捨五入したら30のいい大人が何やってるんだろうな,』


最後にそう言いながら俺は真一郎へ手を合わせた。


『……また来るね,真一郎。』


手を軽く振りながら墓を後にした。


「がんばれよ」


何処からか懐かしい声がしたような気がした。





目的が無くなった俺はただただボーッと歩いていた。




こんな時間に帰っても武道も母さんも居ないだろうし……

俺は服にシワがないか確認した。

お気に入りの”熊殺し”Tシャツは残念ながら返り血で汚れてしまった。


今は仕方なく学校用にと買ったのオシャレ目な服を着ている。


よし。

せっかく,オシャレな格好してんだ。

オシャレな所行ってみるか。



六本木とか。

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