彼の現状 ページ34
「な…で……」
萩原さんは、ぽつりぽつりとその時の状況を話してくれた。
操作盤の爆弾を解体した直後、佐藤刑事に連絡があった。爆発3秒前に、2つ目の場所を教えると。
「でもそれはAちゃんが米花中央病院だって見つけてくれた。それを佐藤…同僚の刑事に伝えてもらったんだけど……。
アイツ、“犯人が仕掛けた2つ目がそれなのか、はたまた全く別の人物が病院に爆弾を仕掛けたのか分からないだろ”って言ってな。…解体すんのやめたんだ。」
アホだろう？
そう笑った彼は、すごく悲しく見えた。
私のシナリオは、景光さんに頼んで、事前に用意してもらった落下脱出用のクッションを、観覧車の下に設置して、脱出してそこに飛び降りて貰うっていう寸法だった。
…けど、あまりにも高さが高かったのと、爆発とほぼ同時に飛び降りた彼は、やけどと複雑骨折で入院したらしい。
一応手術は成功したけれど、麻酔が切れても目は覚めなかった。今は松田さんの目が覚めるまで待つしかない。…と。
「まあ、一命は取り留めたから。とりあえずは良かったよ。…Aちゃんに報告出来て良かった。あのクッション、Aちゃんが何かしてくれたんだろう？」
『中学生にそんな力ないよ』
「ははっ、そりゃそうか。…けど、何か普通の中学生とは思えないんだ………え、Aちゃんもう中学になるの！？」
唐突な驚いた声に、私もぱちくりと萩原さんを見つめたまま瞬きをする。
「ふっ…ははっ、あはは！」
初めて、萩原さんに対して怖くなくなった瞬間だと思う。私がお腹を抱えて笑っていると、横で萩原さんも、段々と可笑しくなったのか笑いだした。
暫くの間笑い続け、ヒーヒー言いながらようやく笑いを収めた。
「やっと俺に慣れたかな？」
男の声に、体が勝手に反応した。涙を拭い、フードに顔を隠して、ゆるゆると首を横に振った。
『萩原さんに初めて会った時は、小3だったから。あれから4年経ったんですよ？』
「ああそっか。確かにAちゃん、大きくなったな」
徐々に症状が戻ってくる。震える手で、私はスマホを打った。
『大丈夫。松田刑事はきっと戻ってくるよ』
「…そうだな。」
そろそろ帰ろう。
そう言って立ち上がり、道を譲られた。そのまま数歩先を私が歩いて、萩原さんに家まで送ってもらった。
それから暫く。松田さんは一切目が覚めなかった。植物状態で、点滴のみで生きてる身体だ。
「…でも、あと2人…！」
せめてこの5人だけは助けなきゃ。
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NIL(プロフ) - 夜空 -Night Sky-さん» ありがとうございます！夢主ちゃんめちゃくちゃ頑張ってもらってます(苦笑) 次が出せたらまた応援しに来てください(´；ω；｀) (2020年6月28日 21時) (
レス) id: 6ea316f6e9 (このIDを非表示/違反報告)
NIL(プロフ) - 黒瀬さん» ありがとうございます！あまり進んでなくて本当に申し訳ないですが、もう少ししたら出せそうなので、待っててください(´；ω；｀) (2020年6月28日 21時) (レス) id: 6ea316f6e9 (このIDを非表示/違反報告)
夜空 -Night Sky-(プロフ) - すごい面白いです！！！夢主ちゃんが頑張っててめっちゃ応援したくなります...！ 更新頑張ってください！ (2020年6月22日 18時) (レス) id: 2b2a41cc61 (このIDを非表示/違反報告)
黒瀬 - この作品を見つけて最初から読んだのですが、とても続きが気になって更新されるのが楽しみになりました！更新頑張ってください！まってます！ (2020年5月25日 16時) (レス) id: 1f6a6008e3 (このIDを非表示/違反報告)
NIL(プロフ) - スピカさん» ありがとうございます！亀更新なのでめちゃくちゃ時間かかってますが、気長に待っていただけると幸いです(^_^； (2020年5月19日 19時) (レス) id: 6ea316f6e9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：NIL | 作成日時：2020年2月23日 18時
