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誕生 ページ6

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《私にそんな口を聞いていると、後悔するぞ…。後ろを見てみろ》



ー ゴキっ、



『!!』



その場から横に飛んだ。

膨よかな男と女が視界に入るようにする。


入るようにした。


だがどうしても女の方に意識を持ってかれた。




[う"っ、、ぁ"……あ"、ぁ……い"、いだぃっ…!!!]




女の皮膚が浮き沈みする。


まるで皮膚の内側から何かが生まれる前兆のように。


酷く悶え苦しむ女。


地面に倒れ込み、のたうち回る。


やがて意識を飛ばし、ピクリとも動かなくなった。



瞬間、皮膚を破る嫌な音を立てながら、何かが生まれた。


地肉の色でも、酸素の色でも、脳の色でもない。


人間のどこも受け継がれていない物質が女の体を苗床にして生まれた。


腹からは細い腕が連なったような物質が何本も飛び出し、その先に手とは言い難い形のものが付いていた。

口からは赤ん坊のような顔が飛び出ていた。


少女は、それを知っているような目をしていた。


憎悪を込めた瞳を膨よかな男に向け、声を荒げた。



『貴様、、!』

《は、ははっ!!さぁ暴れ回れ!!壊し尽くせ!!!お前を作り出すために、俺は…!!!》



その言葉の続きは聞くことはなかった。

滑り落ちるように首から落下していく首。



風邪を切るように刀についた血を払う。


そして鞘にしまい、もう人間ではなくなった女の方に歩み寄った。



『まだ不完全。君は、何もできないまま死んでいくしかないだろう』



そう告げる声は、どこか優しかった。

子供と話すようにしゃがみ込み、伸びている触手のようなものに触れた。


するとまるで泣いているかのように、震え始めた。



[ぁ"……み、、ん…な………ご、、め…ん]



それだけを残し、女の体は崩壊を始めた。

腹から飛び出た触手をギュッと握る。


その姿になったのは君のせいじゃない。

謝る必要なんかない。



『最後だけは、誰かと一緒にいたいよな…』



死ぬときまで1人は寂しいもんだ。


憂いを秘めた瞳をギュッと瞑り、両手で持っている触手を自身の額にコツンと当てた。



その姿はまるで祈りを捧げているようだった。



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ほたる(プロフ) - りゅーあさん» コメントありがとうございます!とても励みになります!更新はゆっくりですが、最後まで見て頂けると嬉しいです! (2019年11月2日 12時) (レス) id: 5cf69170d2 (このIDを非表示/違反報告)
りゅーあ - 面白いですね。続きをいつも楽しみにしています!周りでは、活動休止をしている人がいるので、更新して頂けるだけでも嬉しいですね! (2019年11月2日 7時) (レス) id: 30e35b4147 (このIDを非表示/違反報告)
ほたる(プロフ) - Resultさん» コメントありがとうございます!そう言って頂けて、とても嬉しいです! (2019年10月31日 21時) (レス) id: 5cf69170d2 (このIDを非表示/違反報告)
Result - Totemo omosiroi yo tanosimidanaa (2019年10月31日 19時) (レス) id: 30e35b4147 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ほたる | 作成日時:2019年9月15日 19時

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