契機 �� ページ41
.
自室の扉を開け、バスケットを机に置く。
スーツのポケットにペンとメモを入れ、再び部屋を出た。
目指すは管理室。
みっどーの所だ。
情報の仕入れを昨日の夜に頼んでいるから、もう終わる頃かな。
コンコン、とノックをし、扉を開ける。
相変わらず目に入り込んでくるブルーライトが痛いなぁ。
少し奥に進むと、黒い椅子に猫背で座るみっどーの姿があった。
コ「みっどー」
声をかけると、ゆるりと此方を振り返った。
一つ瞬きをすると、短い息を吐いた。
み「コンチャン。Ω国ダッタヨネ」
はい、と渡された資料。
かなり分厚く、軽く目を通してみても、その情報の密集率は凄いものだと分かる。
コ「相変わらず凄いなぁ」
み「マァネ、」
少し照れ臭そうに言うみっどー。
それじゃあ、と別れの言葉を告げ、歩き出すと、待ってと制止の声をかけられた。
ゆっくりと振り返ると、そこには真剣な顔をしたみっどーがいた。
あぁ、嫌な予感がする。
み「……一つ、頼みたいことがある」
まるで言霊のようだ。
そう思った。
音としては軽いのに、言葉としては重い。
飲み込んでみると、鉛のように腹の底を這いずり回った。
み「Aに寄り添ってあげて」
まるで星が砕けたようだ。
その言葉の中からは無数の光が溢れた。
希望、不安、期待……。
その中で一番星のように輝いたのは、未来だった。
コ「……、Aの未来を守りたいんだね」
思わず漏れたその言葉に、みっどーは目をまん丸くした。
気付いた時にはもう遅い。
能力を使ってしまったことを後悔した。
コ「あ、ぁ…み、みっどー……？」
震える声を無理やり押さえ込んで、名前を呼んだ。
どうしよう。やってしまった。
みっどーが固まった。動かなくなった。
どうしようどうしようどうしようどうしよう。
.
.
.
.
み「……コンチャン、俺ガソレ効カナイノ忘レタ？」
まるで馬鹿にするような笑顔を浮かべた。
あぁ、そうだった。
みっどーに能力は効かないんだった。
緊張しまくって固まった体の息を抜いた。
コ「相手がみっどーで良かった…」
み「デモ近海サンの所二ハ行カナキャ駄目ダヨ」
コ「そうだねw この後行ってみるよ」
手に入れた資料を片手で掴み、じゃあと告げてその場を離れた。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 63人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ほたる(プロフ) - りゅーあさん» コメントありがとうございます！とても励みになります！更新はゆっくりですが、最後まで見て頂けると嬉しいです！ (2019年11月2日 12時) (
レス) id: 5cf69170d2 (このIDを非表示/違反報告)
りゅーあ - 面白いですね。続きをいつも楽しみにしています！周りでは、活動休止をしている人がいるので、更新して頂けるだけでも嬉しいですね！ (2019年11月2日 7時) (レス) id: 30e35b4147 (このIDを非表示/違反報告)
ほたる(プロフ) - Resultさん» コメントありがとうございます！そう言って頂けて、とても嬉しいです！ (2019年10月31日 21時) (レス) id: 5cf69170d2 (このIDを非表示/違反報告)
Result - Totemo omosiroi yo tanosimidanaa (2019年10月31日 19時) (レス) id: 30e35b4147 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ほたる | 作成日時：2019年9月15日 19時
