寄生 ページ5
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膨よかな男が、キツキツになった襟口付近の喉を震わせた。
汗がポタポタと垂れている。
その前に立っているのは自身よりも遥かに若い少女。
その後ろでガタガタと震えている女。
少女は何も言わず、ただじっと膨よかな男を見ていた。
この部屋の空気だけが深海のように重い。
ちょっとでも油断すればその水圧に押し潰されてしまいそうだ。
震えている女がこの部屋から逃げようとドアノブに手をかけた。
それを見逃さなかった膨よかな男。
顔を紅潮させ、声を荒げた。
《私を置いて何処へ行く！！！！！誰のおかげで今まで生きてこれたと思ってる！！？！》
その声に身体を跳ねらせ、ドアノブから一瞬手が離れた女。
目を震わせ、息を乱した。
その様子を見て、少女が口を開いた。
『……愚かだな。お前を守ってくれる兵はもういない。作り上げたこの城も、ただのガラクタになる』
まるで何かの暗示のようにそう呟いた。
すると膨よかな男は怒りの矛先を少女に向けた。
《貴様さえ来なければ…！！！貴様さえ来なければ、私は今でも輝いていたのに！！！！！！》
『おや、もう輝けない自覚があるようで』
少女はくすくすと笑った。
口元にやったその手にはまだ新しい血がべったりと付いていた。
ゾッとした膨よかな男は、思わず口を閉じた。
その瞬間を見逃さないよう、少女は言葉を紡いだ。
『お前を想って死んでいった兵達、報われないなぁ。命をかけて守っている間、お前はそこの愛人と交わっていたのだから』
蔑みを含んだ声色でそう伝える。
目の前の男は目に涙を溜め、身体をより一層震わせた。
ピタッ、と笑いを止めたかと思うと一瞬で表情が変わった。
笑っていた表情から、冷めた表情に。
口角は下がり、目から暖かさは消え、雰囲気を尖らせた。
『下衆め。その胸にあるいくつもの勲章はただの飾りか』
今にも誰かを殺しそうな目を膨よかな男に向けた。
冷や汗をかきながらも、男は不敵にニヤリと笑った。
ー どこか余裕のない笑みだな、と少女は感じた。
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ほたる(プロフ) - りゅーあさん» コメントありがとうございます！とても励みになります！更新はゆっくりですが、最後まで見て頂けると嬉しいです！ (2019年11月2日 12時) (
レス) id: 5cf69170d2 (このIDを非表示/違反報告)
りゅーあ - 面白いですね。続きをいつも楽しみにしています！周りでは、活動休止をしている人がいるので、更新して頂けるだけでも嬉しいですね！ (2019年11月2日 7時) (レス) id: 30e35b4147 (このIDを非表示/違反報告)
ほたる(プロフ) - Resultさん» コメントありがとうございます！そう言って頂けて、とても嬉しいです！ (2019年10月31日 21時) (レス) id: 5cf69170d2 (このIDを非表示/違反報告)
Result - Totemo omosiroi yo tanosimidanaa (2019年10月31日 19時) (レス) id: 30e35b4147 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ほたる | 作成日時：2019年9月15日 19時
