早退 ページ45
*
「ええっAさん早退されるんですか?!」
『はい。体調があまり優れないので
今日はもう帰ろうかと』
「そっ…、それなら俺自宅まで送りますよ!!」
「おい抜け駆けすんなっ！」
今朝のノルマを終え、事務所帰って上司に体調が優れないことを伝えると二つ返事で｢早退しろ｣と言われた。
アーガイルに引き継ぎをお願いしていると何やら人が集まってきて、気付いたら私を取り囲む数人の男性社員。
何もそんなに騒がなくても、と言ってはみるが早退するようなキャラでもないためにありえないほどの注目を浴びる。
恥ずかしいしまさかここまで大事になろうとは思ってないし早く帰りたいし。
色んな感情が入り交じって顔を歪めた頃、知らない男性社員から自宅まで送ろうかなんて言われた時は、そろそろこの場で倒れてやろうと思った。
私は静かに穏便に、早退をしたい。
この願いさえも叶わないと言うのだろうか。
私になんの恨みがあってこんなこと。
「Aさん困ってるの分からないの？」
『あ…』
「ごめんねこんなに煩くしちゃって。
私下まで同行するよ。荷物はこれだけ？」
ｶﾞﾝｶﾞﾝと一方的に話しかけてくる男性社員をかき分けて私の前に現れたのは、顔見知りの女性社員、ユクさん。
私の隣に立ったかと思えば鞄を嫌味なく取り上げて、
私をその場から逃がしてくれる。
そんな彼女の頼もしさに年甲斐もなく胸が震えた。
＿＿＿＿
「全くなんなのアレは。
うざいったらありゃしない」
『ユクさんのお陰で助かりました!
本当に…ありがとうございます、!!』
「ううん。Aさんのお役に立てて嬉しいよ」
連れてきてもらったのは１階のロビー。空いているソファーに私を座らせると彼女も同じように隣に座り、｢それにしても｣とさっきの光景に苦い顔を見せた。
男ってなんであんなどうしようもないんだろうね、
棘のある言葉達に私は軽く同調するしか出来なくて、その代わり、彼女の心遣いには出来るだけの感謝を伝えた。
「でもびっくりしたな」
『？』
「Aさんはやっぱりマドンナなんだね」
『え？』
ちょうどその時。
事務所前に1台のタクシーが止まった。
来たみたい
ユクさんはｻｯとその場に立つと
私の体を支えて入口まで誘導してくれる。
『あの』
「お大事にね」
閉められたドア。
遠くなるユクさん。
マドンナって？誰が？私が？
疑問は残されたまま
1人寂しく帰路へ着いた
*
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豆なっつ(プロフ) - あがしおんさん» 返信遅れてしまい申し訳ございません(汗)！以前から読んで頂けていたなんて...＞＜また再開できて嬉しいです！更新がんばります!! (2020年2月13日 1時) (
レス) id: 4ee0a0d202 (このIDを非表示/違反報告)
あがしおん(プロフ) - 以前呼んでいた同タイトルだったので、あれ？っと思って読み進めていました。やっぱり豆なっつさんのお話でしたか！更新楽しみにしています！ (2020年2月8日 1時) (レス) id: cab6f14aeb (このIDを非表示/違反報告)
豆なっつ(プロフ) - テテちゃんさん» ありがとうございます！可愛いグクを目指してます☆ミ 「私のキノコ」まで読んでいただけているなんて、、、！(感激)これからもどちらともよろしくお願いしますね！ (2020年1月28日 20時) (レス) id: 4ee0a0d202 (このIDを非表示/違反報告)
テテちゃん(プロフ) - 初見なんですけど、すごく面白いです！ぐくちゃんが可愛いすぎますね☆とても面白くてずっと読んでしまいました！あ、あと「私のキノコ」もとてもいい作品ですね♪ (2020年1月26日 22時) (レス) id: d1966519d9 (このIDを非表示/違反報告)
豆なっつ(プロフ) - さきさん» そうだったのですか( ° ° )!!!!!! では突然消えてしまって本当に申し訳ないことをしました...今回は頑張りますのでどうかまたお付き合い下さいね。(涙) (2020年1月26日 0時) (レス) id: 4ee0a0d202 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：豆なっつ | 作成日時：2020年1月22日 19時
