Princess of the moonlight

story20 ページ21

貴女side

慧「ん？どうしたの、A」

わかるくせに……やっぱりあの頃と変わらない

たまに出る意地悪な慧。

でも、そんな慧もあの頃は好きだった。

でも、今はあの人の方が好きなんだ。

でも、今は……

『行かないで……？』

そう言うと慧は困ったように

眉を八の字にする。

わかってる、慧が困ってしまうことくらい

でも、今は今だけは………

『まだ傍にいて……』

あの人にまたしばらく会えないんだ

それなのに、辛い事を沢山我慢するなんて

無茶でしかない。

でも、今は慧さえ居れば平気だから。

慧「A……よし、じゃこうしよ？」

その声に私は首を傾げる。

慧「2時間したら俺、仕事終わらせてまたここに

戻って来るから。それまで待ってて？」

きっと昔の私なら駄々を捏ねるのだろう

でも、今は戻って来てくれると約束

して貰えるのが嬉しかった

『わかった！じゃ、私待ってる！』

慧「偉いね」ﾆｺｯ

そう言って慧は私の頭を優しく撫でる

そして、慧は行ってしまった。


部屋にはほんの少しだけ慧の匂い

今の頭の中は、慧の優しい声でいっぱいだ

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