小さなプレゼント＿trsk ページ29
｢ごめんねー毎回頼んじゃって｣
『いえいえお気になさらず。係の仕事ですから』
｢もう少し僕に筋肉があればねー、こう、ムキッと｣
『そ、れは…なんか、うわ、』
｢え、今うわって言った？｣
言ってないですー、と先生の後ろから声を投げつけるも、職員室のドアを開けながら華麗にスルーされた。職員室は大声を出すもんじゃない。代わりに失礼しまーす、と声をあげて、また先生についていった。
私達のクラスの数学担当の鶴崎先生は課題が多い。計画的にしてくれているのは確かだしありがたいけれど、毎週月曜日、各教科係の中で圧倒的に数学係である私の仕事量が多いのは一目瞭然である。2年もあればさすがに慣れた。数学が好きだから、だけで決めた係がここまで影響するとは思ってもみなかったが。
もはや職員室の常連と化した私は、ほかの先生に労いの言葉をかけられる事もしばしば。頑張ってるねぇ、なんて言いながら足早に私を追い越して鶴崎先生の隣の席に座ったのは山本先生。少し
ここ置いといてー、といつもと同じところに置く…置こうとはした、したんだが、普段は整理されている鶴崎先生の机の上に、可愛い黄色のラッピングされた何かが置いてあった。すごく、浮いている。思わず固まってしまったが、貰った当人であろう鶴崎先生は、不思議そうに私の方を見た。
｢……百瀬さん？｣
『せ、先生、これ…ついにファンクラブできたんですか…？』
｢え！？ついにって何！？なんで！？｣
『だってそれ…』
やっとその存在に気がついたのか、あぁーこれね、と呟いて、その後ちらっと前を向いた。そろそろ腕が辛くなってきたのでノート達を机の上におろして目線の先を辿ると、伊沢先生に水上先生、それとコーヒー片手にやってきた川上先生。同じ年に赴任してきた仲良しで有名な同僚4人組。伊沢先生がすごいニヤニヤしている。
その後ろで、須貝先生が席を立った。
｢えー…これ言うの？言わない方が良くない？｣
｢別に言ってもええんやないの｣
｢てか言えよ｣
｢ほら言った言った〜｣
｢えぇ面白いくらい僕の味方が居ない｣
『なんなんですかさっきから…』
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作者名：Ruka | 作成日時：2021年5月16日 0時
