春、出会いの季節_izw ページ1
『…どこ、』
桜舞う4月。今日は待ちに待った入学式。頑張って何とか入学した学校、楽しみでしかない。
ただ、1つ問題が発生。
私が行くべきところはどこなのだろうか?
与えられた情報は「146教室」のみ。近くに地図は見当たらない。さすがに難易度高すぎやしません?これも含めて入学試験とでも言うのだろうか。
誰かについて行こうにも、二手に分かれてるのでどっちについて行けばいいか分からない。友達なんて、中学卒業でさらばしてしまった。
『どうしよ…』
たしか、10時から入学式が始まるから10分前には教室に着いてなきゃで、今は9:42。あー困った…
「新入生だよね?大丈夫?」
『ひゃっ』
すると突然、後ろから声をかけられる。驚いたせいで変な声まで出てしまった。恥ずかしい。
でも、今はこんな気持ちに構ってる暇はないのだ。あと8分で教室まで行かなければ。
『あ、の…場所がわかんなくて、』
「あぁ、っと…何組?」
『えと、6組です』
「146教室だよね?ここ右に曲がったら階段あるから、そこ4階まで上がって前から6番目。行ったら分かると思うよ」
『あ、ありがとうございます』
コミュ障を勃発しながら礼を言うと、彼はふ、と優しく微笑んだ。
「生徒会の伊沢です。今日はいろんなとこで指示出してるから、困ったことあったら聞いてね。次に会うのは…入学式かな」
じゃあ、そろそろ始まるから、と言って去っていった。その後ろ姿を、なんとなく見つめていた。
『……あ、入学式!』
ぼーっとしてる暇ではなかった。時計を見ると、あと5分。
彼に言われた通りに道を進むと、確かにそこには「146教室」と書かれた標識が廊下に出ていた。
黒子が特徴的だったなぁ。何年生だろう、2年生かな?なんて考えながら、先生の指示に従って廊下に整列していく。
彼に会える入学式までは、あと3分を切っていた。
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作者名:Ruka | 作成日時:2021年5月16日 0時