人喰い道化師のマーチ【小説Ver】

No.10【海野 鈴奈】 ページ11

「危ない！！」






騒がしいビル街に叫び声に近い声が響き渡り、周りが声の方向に目を向け、皆顔を蒼くした。




その視線の先には左目が渦巻いていて手を振り上げている道化師と、まさに今周りの声に気づいて振り向いている
途中の少女がいた。




少女は一瞬驚いたような顔をした後、降り下ろされた腕をギリギリの所で避けた。
それから周りを見回した後、ホッとしたような顔になった。



少し躊躇したような行動を見せながらも、手に持っていたぬいぐるみから短刀を出し、道化師の左目に刺した。



左目を刺された道化師は力無く仰向けに倒れていった。




少女…鈴奈は

「やっぱり、普通の人を刺してるみたいで…慣れないですね…。」

と、少しうつむきながら申し訳無さそうな顔を少しした後、また周りを見回しフワっと笑った。



「皆さんに怪我がないようでよかったです！」

鈴奈はそう言い、道化師を軽々と持ち上げてWhiteがいる研究室へと向かった。




「この道化師さんは、左目しか刺してないので損傷が少ないですね…。状態が綺麗なので、『うえん兄』に届けましょう！」
そう鈴奈は言うと道化師と共にその場を去った。




「おかしやスイーツも持って行ってうえん兄の研究が終わったら、一緒に食べるのも良いかもしれません！！」




先程まで騒がしかったビル街は鈴奈と道化師がいたその場だけ、静まりかえっていた。





その中に鈴奈の楽しそうな声だけが響いていた。

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