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なんで今更思い出してしまったんだろう。
思い返しても嫌な記憶しか残っていないのに。
きっと彼のせいだ。
炭治郎とあったその時から変な気持ちだった。
いきなり現れては堕姫を殺そうとした。
鬼狩りの目的で来たんだから分からなくはないけれど。
私の中では土足で踏みいられたような感じがして、少しだけ癪に触った。
すぐに殺せば良かったんだけど何故だか殺せなかった。
どうして殺せなかったのかは分からない。
私にもまだ人間だった頃の感情を持っていたのかもしれない。
私は意味もなくぼんやりと町を眺めていた。
空を見上げてみると今日は星がとても綺麗だった。
「……(最後に太陽を見たのっていつだったんだろう)」
鬼になってからは陽の下を歩けていない。
もし、願いが叶うならもう一度歩いてみたいな。
この状況を誰かに見られていたら……と思っていたその時だった。
童「あれぇ、もしかして、Aちゃん?」
「……えっ(この声……って)」
予感は的中していたみたいだ。
変装はしているが鬼の気配で気がついたのかなと。
彼はへらへらと手を振りおーいと呼び、私の方に向かってきた。
どうして、彼がこんな場所に現れたんだろう?
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作者名:翠 | 作成日時:2022年2月15日 21時