鬼のお姫様【鬼滅の刃】 (ページ29)

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Aside

炭「嫌な気持ち？……どういうことなんだ？」

どうしてその事を追求するんだろう？

あなたは何も知らなくて良いことなのに……

でも

あなたは知らなくて当然かぁ……
だって、あなたが居なかった頃の話だから……

別にあなた自身を特別嫌っているわけではない。
“鬼殺隊”というものが私は嫌い。

その耳飾りに何となく身に覚えがあったから。

遠い話だし、ほとんど思い出せないんだけどね。

鬼殺隊というものだけは、はっきりと覚えているの。

「竈門炭治郎くんかしら、……嫌な気持ちになるのはもしかすると、あなたのほうかもしれない」

炭「(どうして、俺の名前を……？)」

Aの姿は鬼の姿を現した。

指の爪は伸び、黒かった髪色は堕姫と同じような白色へ。

瞳には「零」と印字がされており、口の隙間からは牙が見えていた。

炭「……！え、上弦の……零……？」

「私はね、あなたみたいに良い人じゃないの」

炭「そ、そんな……」

彼はありえない……と言いたげな表情で私を見つめていた。まさか、私が人間じゃなかったなんてショックを受けているかのようだった。

私は1つ提案をする。

「だから会うのはもう、最初で最後にしよう？」

可哀想な彼を私は見たくなかった。
そして私も、鬼殺隊を裏切りたくなかった。

そんなに同情した顔を見ないで。

そんな情は捨ててかかってくれば良いのに。

鬼となった私は誰も助けてくれることなんてないの。

助けて欲しいなんて思ったことも……ない。