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近くにあった椅子に座り、
さっき貰ったお皿を眺める。
美味しそうだなあ、
海老ばっかりだし。盛り付け綺麗だし。
『いただきまーす!』
パクり、と一口食べる。
『美味しい〜』
口角が上がる。嬉しい。
我慢していた甲斐があったなあと思う。
次から次へと平らげていき、
お皿にはもう少ししか残っていない。
下手に席を立つ事が出来ない私は、
諦めて、フォークを最後の海老に突き刺した。
「本当に海老、好きなんですね。」
頭上から声がし、見上げるとさっきの彼が立っていた。
『あ、はい!…騒いですいません』
「いいんですよ。
また取って来たので食べてください。
今回はデザートとドリンクも一緒に」
そう言って、彼がたくさんの料理やデザートをテーブルに並べた。
『…あの、』
パチっと目が合う。
今回はかなり距離が近い。
「申し遅れましたね。平野紫耀です。」
平野紫耀さん。25歳。
お父さんの会社の取引先の若社長さんで、
つい最近社長になったらしい。名前を聞くところかなりの規模の会社だ。
『すごい方なんですね』
「自分で立ち上げた会社じゃないんで。
俺なんかまだまだ全然ですよ」
『そんな事ないですよ!そんな若くで社長なんて…すごいです』
「ははっ、ありがとうございます。」
ぱくっと、海老を頬張る。
また自然と溢れた笑顔を見て、平野さんも笑った。
「今、おいくつですか?」
『…あ、19です』
「思った通りだ」
『…え、?』
「可愛らしいなと思って。」
『え!?』
「さっきもチラチラご飯を気にしてて、その姿はまるで子供でしたからね」
『…馬鹿にしてます?』
「素直で良いと思いますが」
『…じ、じゃあ、ありがとうございます』
「はい。」
なんだか、掴めない人だなあ。
…なんか、この人、死んでるみたい。
「あ、そうだ。一条さん」
『はい?』
「今、19なんですよね?」
『そうです』
「じゃあ今度、是非お酒をご馳走させてください」
『…はい?私、未成年ですけど!』
「案外バレないものですよ?」
『そ、そういう問題ですか?』
「お洒落なバーを知ってるんです。
きっと気にいると思います」
にっこりと微笑んだ。
その瞬間、どくんと、心臓が大きな音を立てて、
すっごい高いとこから落っこちたような感覚。
これが恋だと気付かないほど、馬鹿ではない私は一瞬で状況を察する。
……出会った瞬間に、
この人を好きになってしまったのだと。
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林檎(プロフ) - はじめまして!最初にこの作品を見つけて呼んだ時は月光インセストを読んでいない状態でしたが、月光インセストを読んでからこちらを見るとより一層切なくて面白かったです!本当に大好きです!更新無理のない程度にお待ちしております!! (2020年11月3日 15時) (レス) id: 96ebd3d640 (このIDを非表示/違反報告)
一花(プロフ) - 月光インセストもこの作品もすごく好きです!主人公はどんな人なんだろうって、きっとすごく魅了的なんだろうなと思うし、主人公以外を女だと思ってないって言い切れちゃう廉くんもめちゃくちゃカッコいいって思いました!紫耀くんにも幸せになってほしいです (2019年8月17日 21時) (レス) id: cc08c80ce0 (このIDを非表示/違反報告)
みにれお(プロフ) - 続きがすごく気になります!ぜひ更新してください!!! (2019年8月13日 17時) (レス) id: 17710468a0 (このIDを非表示/違反報告)
詩織(プロフ) - 続きが気になります!更新お願いします!m(_ _)m (2019年1月12日 0時) (レス) id: 2bc913fedf (このIDを非表示/違反報告)
Mt.Wind Bell(プロフ) - 更新楽しみに待ってます( ´ ` ) (2018年12月15日 8時) (レス) id: 4eba5a31cc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:C-N | 作成日時:2017年2月5日 1時