34 ページ34
普通なら取り乱すはずの出来事なのに、北斗はまるで他人事のように火事の様子を眺めている。
燃えているのは反対側の部屋で、北斗の部屋にはまだ火は来てないようだけど。
今日は風が強いし、火が北斗の部屋に到達するのは時間の問題。
「北斗、今のうちに大事な物は持ち出しておいた方がいいんじゃない？」
そう言ってるのに、
「まあ…、大丈夫じゃない？
すぐ消えそうだし。」
って、北斗はやっぱり冷静で。
何の根拠があって、そんなに余裕なわけ？
北斗の予想通り、火はすぐに消し止められた。
だけど…。
アパートの２階部分の大半は焼けてしまい、きっと北斗の部屋は水浸しのはず。
なのに、
「帰るよ。」
北斗はくるりと踵を返すと、元来た道を戻っていく。
「いいの？」
「何が？」
「部屋に入って確認しなくていいの？」
「現場検証だから入れないし。
今は何もできないんじゃない？」
「じゃあ、これからどこに行くの？」
「Aん家？」
そう言ってから北斗は一旦、立ち止まった。
遅れて隣に来た私に向き直ると、
「というわけだから、しばらく置いてくれない？」
普段と同じ感じでサラリと言われてしまった。
いや…、普通もっと申し訳ながったり、取り乱したりしない？こんな時。
何で北斗はこんなに冷静なんだろう。
夕方、現場検証の終わった北斗の部屋にようやく入ることができたけど…。
ほぼ水浸しと言っていい状況で。
畳は水を含んでぶよぶよしてるし、部屋中煤臭くて、とても人が住める状態ではなかった。
「押入れの中はほとんど大丈夫みたいだから、Aの部屋に持って行っていい？」
そう言って北斗が押し入れから引きずり出したのは、小さな衣装ケースが２つ。
ひとつは洋服と、ひとつは教科書や辞書類。
向かいのコンビニで台車を借りてきた北斗は、衣装ケース２つと調理器具をいくつか乗せて、私の部屋まで運んでいく。
「ねえ、北斗の荷物ってまさかこれだけ？」
「ちゃぶ台と座布団は、もう使えなさそうだから置いてきたけど。」
…って、荷物少なすぎない？
私の部屋に戻って、今度はクローゼットの中を片付け始めた北斗は、まるで小姑みたいにブツブツ文句を言い始める。
「A、何でもクローゼットに突っ込めばいいって思ってるだろ？」
だとか、
「何これ！？
A、収納っていう意味知ってる？」
って、本当にうるさい。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1859人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SixTones」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
わかめ(プロフ) - き之いさん» コメントありがとうございます。はい、キスマイで書いてます(/ω＼)書き方そっくりでしたかｗｗキスマイの方からもこちらに行けるようにしてるんで、とっくにバレてると思ってました。こちらも向こうも、どうぞよろしくお願いしますm(__)m (2019年4月28日 22時) (
レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
き之い(プロフ) - もしかしてなのですが別垢でキスマイのお話書かれていますか？書き方がそっくりでずっと引っかかってました！私もキスマイとストの掛け持ちなので嬉しいです(^^) (2019年4月28日 21時) (レス) id: 94026d8f4b (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - ふまほくさん» そう言っていただけて嬉しいです。かなり更新遅めですが、どうぞよろしくお願いしますm(_ _)m (2019年4月28日 10時) (レス) id: ba720923d0 (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - 雄也Loveさん» コメントありがとうございますm(_ _)m更新遅めのため、のんびりお付き合いいただければうれしいです！ (2019年4月28日 10時) (レス) id: ba720923d0 (このIDを非表示/違反報告)
ふまほく - こんなに更新が待ち遠しいお話は、初めてです！ これからも頑張ってください！ (2019年2月3日 17時) (レス) id: 6cf9c86b0f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：わかめん x他1人 | 作成日時：2017年12月12日 23時
