[忍たま] 室町の暗殺者 2

月光鬼　52 ページ28

貴[…………………この先か……………。]






立花仙蔵との立ち話から数刻後、自身で調べ上げた情報を元に学園から遠く離れたある山奥に来ていた。 全ては前の実習時に偶然聴いた敵である亜京達の会話の詳細を調べることを目的に、カエンタケ城へ忍び込む為である。


生い茂る木々の枝を伝い山中を風のように移動する。しばらくすると見渡す限りの森があけた。そしてその奥には……………………目的としていたカエンタケ城がそびえ立っていた。






貴[……これがカエンタケ城………………想像していたより、ずっと大きいな…………………それにしても、悪趣味な外観だな………。]






それは自分の素直な感想だった。視線の先に見えるカエンタケ城は、まだかなり離れた場所に建っているが、遠目からでも認識できるほどに歪な造りであり、外壁は血のようなどす黒い赤で統一されていた。







貴[………………この僕がこんな悪趣味な城くらいで怖じけづくはずないだろう、…………………………………さあ、行こうか…………………日が暮れる前に帰らなくてはならないしな。]






風を斬る音が静寂に包まれた森に響いたと思うと、先程まで(人１)がいた場所には、もう誰の姿もなかった……………。

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