俺と狼とその他色々。

１８話　誘拐事件。 ページ19

「アソウ!しっかりしろ!」

気が付くと、ヴァンがいた。

「…ヴァン?
　あ!そういえば、俺…。」
「まず、安静にしてた方がいいよ。
　クラクラするだろ?」

そういえば、なんかクラクラするな…。

「術にやられたんだ。
　アソウの場合、術とか魔法に体が慣れてないから、脳に異変が起きたんだ。」
「え…?
　あの時、殴られたかと思ったんだけど…。」

頭、おかしくなってしまったか?
あの時のことも、よく覚えてないし…。

「アソウと姫が帰ってこないから来てみたけど…。
　どうなってんの?」

俺は、覚えていることを全部話した。

「ふーん…。どんな人?」
「見てないから知らないけど…、たぶん男?」

すると、ヴァンの服の中から黒い物体が出てきた。

「ヴァトラス様!
　たった今、セフィア姫様を連れ去った者たちから、脅迫状が届きました!!」

ぅおおっ!?
なんか、小さい悪魔っぽいのが喋ったぁぁぁ!!

「内容は?」
「『セフィア姫は我々が預かった。
　無事、帰してほしいのならば、ガノンとの婚約を取り消せ。』
　…だそうです。」

と、いう事は…。

「婚約すんなってことか!?」
「脅迫状の内容に出てたじゃん。今気づいたの?」

あぁ、そっか。
『婚約を取り消せ』って言ってたもんな。
コレが…。

「痛い!痛いですよ!!」
「あ、ゴメン。」

俺は、いつの間にか悪魔っぽいのをつついていた。

「コイツは俺の使い魔の『ミュー』。」
「ミュー?」
「女じゃないですよ…?」

ミューが睨んできた。

おぉ…!
小さいのにすっげー迫力がある…!!

「…そうだ!
　セフィアを助けに行かないと…!」
「いや、アソウは…。
　って、おい!」

俺はヴァンの話を最後まで聞かずに走り出した。

多分、こっちに行ったはず…。

俺は夢中になって走った。




ヴァン「まったく、アイツは…。」
葉鳥「話を聞いたとしても、助けに行くと思うよ?」
ヴァン「…道に迷っても知らないよ?」
葉鳥「そうだな。行く先だけでも、教えた方がよかったね。」
ミュー「……え?
　 怪我の方の心配じゃないんですか?」

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