45.この男はとことんズルい ページ45
.
周りの空気はガヤガヤと賑わっているのに、私たちを包んでいる空気だけとても静寂。
お化け屋敷から出てくる人の叫び声もよく聞こえてきて、どうも落ち着かない。
いつもならどんどん話題を持ってきて、空気を明るくしてくれるホソクも黙ってしまっていた。
「ホソク、」
HS「A、」
お互いの声が被って、私たちは目を合わせる。
ただ名前呼んだだけだよ、と私が言うと、ホソクは微笑んでから口を開いた。
HS「Aってテヒョンくんの気持ち知ってたでしょ?好きってこと」
「……それ、本気だったの?」
私が小さい声で聞くと、ホソクは大きく頷いた。
開いた口が塞がらないってこれか。
少し本気なのかな、と思ったことはあったけど、テヒョンくんのイメージからしてどうしても信じられない自分がいたから。
HS「Aはテヒョンくんの想いを受け入れようとした?ちゃんと聞いてあげた?」
「……っ、」
HS「確かに信じ難いかもしれないけど、彼は本気だったんだよ」
ホソクの言葉を聞いて、彼から受けた想いが少しずつ蘇ってきた。
今思うと、なんで受け止めなかったんだろう、と自分自身が嫌になってきて、心が痛い。
HS「テヒョンくんは素直だよ。さっき助けたのも、きっと彼が素直な人間だから」
「……」
HS「Aって、テヒョンくんといるとき、楽しそうに笑ってるよ?」
「え……」
テヒョンくんといるとき、私が楽しそうに笑っているなんてわからなかった。
だけど確かに、前よりも笑うことが多くなったし、彼の無邪気な笑顔を見るのも好きだった。
さっきもそうだったし。
HS「Aも素直になりなよ」
「なに?」
HS「彼の想い、ちゃんと受け止めてあげなきゃ」
どう返事をするのかはA次第だけどね、と言って、ホソクは立ち上がった。
HS「あのさ、A」
「ん?」
HS「心が苦しくなるのは、なにかが足りてないからだよ」
「……」
HS「彼と出会って、お前は変わった」
俺だけにしかわかんないだろうだけど、と付け足して、私に背を向けるホソク。
どこに行くの?と聞けば、お前が今行きたいとこ、なんて返ってくるから、ほんとにこの男はズルすぎると思う。
私は急いで立ち上がって、ホソクのあとを追いかけた。
.
569人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「BTS」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Sena(プロフ) - mocoさん» mocoさん、ありがとうございます(泣)心から笑えるようになったのも、温かい言葉を下さったお陰です。本当にありがとうございました(T_T)これからもお楽しみください! (2019年6月28日 21時) (レス) id: 5282e17aaa (このIDを非表示/違反報告)
moco(プロフ) - おはようございます!元気になって良かったです(^^)無理せず過ごしてください!更新楽しみにしてますね(^^) (2019年6月28日 8時) (レス) id: 6fbb76998d (このIDを非表示/違反報告)
Sena(プロフ) - そらさん» そらさん、ありがとうございます(泣)その言葉を胸に抱いて、日々の生活頑張ります。そして“今”を楽しみますね!温かい言葉を届けてくださり、心から感謝しています。本当にありがとうございました(T_T) (2019年6月26日 23時) (レス) id: 5282e17aaa (このIDを非表示/違反報告)
そら(プロフ) - 頑張りましたね…少しでも前に進めたならSenaさんは大丈夫!後は自信を持って!自然と気の合う仲間が集まってくるはずです。学生時代にしか楽しめない事もたくさんあるから…心躍る毎日であることを祈ってます。 (2019年6月26日 18時) (レス) id: 450bdcddb7 (このIDを非表示/違反報告)
Sena(プロフ) - りんねさん» コメントありがとうございます。そんなことを言って頂けるなんて、お話を書いててよかったですほんとに。元気を与える側になると、こんなにも嬉しいんですね(;_;)休んでから必ず帰ってくるので、楽しみにしていてください(^^)本当にありがとうございます(;_;) (2019年6月16日 18時) (レス) id: 5282e17aaa (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:星雫 | 作成日時:2019年4月29日 21時