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鋭い銃声が辺りに響いた。と共に、弾く様な音も。
……あれ？痛くない。
目を開けようとしたところで3、4発更に銃声が続くも、それら全てが自分の元へ届き、一つの傷も及ぼすことは無かった。
恐る恐る目を開けると、女性が足を蹴りあげたが見えない何かに阻まれる様に、届く直前で弾かれた。
よろめいた女性はキッ！と深澤を睨みつける。
「お前か…！お前から殺してやる…！！」
「ハハ、せーかい」
深澤は組んでいた腕を解き、左の手の平を此方に向ける。そこには小さな鍵が縦に2つ刺さっていた。
魔女には2種類存在する。
【Lock】制御・抑制能力に特化した、【Blocker】
【Unlock】破壊・強化能力に特化した、【Breaker】
前者には深澤が、後者には佐久間が当て嵌る。
狙うべきは勿論、
「【Blocker】を狙え！！」
「佐久間ぁ、今日は遊び相手が多くて嬉しいなあ」
「ちょー嬉しいっ！腕が鳴るぜー！！」
佐久間は中心へと飛び込み、深澤は微動だにしない。
周りの下っ端達は深澤を狙い、女性は向かってくる佐久間を見据えた。
「生半可な魔力じゃ何人でかかって来ても、俺の障壁は壊せないと思うんだけどお」
大勢に狙われた深澤は鍵を増やし、身の回りに壁を張り攻撃を防ぐ。手でスライドさせながら、合間に取り出したオートマチックを模したそれで肩や胸、膝を撃ち抜いて彼らの行動を制限する。
妨害に入って来る下っ端を切り伏せる佐久間の援護までをも担う深澤の顔は、未だ未だ余裕が有りそうだ。
佐久間は、敵の【Blocker】が創り出した障壁や、身に降りかかるデバフをもろともしない様子で粉砕し、手脚を切り付けていく。
金髪がふわりと揺れ、鮮血に濡れ、重力をまるで感じさせない軽やかな動きは一種の舞を踊っている様で。その綺麗さが、佐久間の上がった口角に不気味さを感じさせた。
「あとなんにんだー？」
「10も残ってねえよ」
「たっはー！呆気ねー！」
赤が垂れる。紅が飛ぶ。朱に塗れて。緋に染まる。
死人はおらずとも、それは深澤と佐久間の配慮と手加減のおかげで、戦況は誰がどう見たって明らか。
敵前逃亡する者が何人か目の端で捉えたが、2人が気にする様子はない。
気付けば、残っているのは女性ただ一人だけだった。
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作者名：Ju | 作成日時：2020年11月28日 8時
