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頭上から降ってきた聞き覚えのある声に俯きかけた顔をあげる。
見上げれば、数個取り付けられた小窓の一つに黒いフードケープを纏った人影が見えた。その人は常人には高過ぎるだろう程の高さがある小窓から軽々と飛び降りると、キョロキョロと周りを見渡しながら此方へと近付き、目深く被っていたフードを外した。
「おーおー、人様の縄張りで好き勝手においたしてくれちゃって、まー酷いこと」
間延びのある特徴的な口調で語り、少年の方へと顔を向けた彼は、垂れがちな柔らかい目を細めて笑った。
「皆の人気者、ふっかさんの登場ぉ〜、なんつって。
どう?ヒーローっぽい?」
戯けて言う深澤に、少年は声が出ないことを忘れ「ふっかさん…!」と呟くと、聞こえぬその声を拾ったかの様に深澤は、「はーい?」と返事をし、手をヒラヒラと振った。
「やーそれにしても酷いな。こんな幼気な少年少女達をとっ捕まえて金儲けとか信じらんねえ。お前らは一体お父様とお母様と学校から何を学んで来た…って学んだところでバカなんだからわかんねえか、こりゃ失敬」
躊躇うことなく次から次へと嘲笑の言葉を投げ掛ける深澤は女性と瞳が合えば、鼻で笑いとばす。その様子に女性が、勿論周囲の怖い人達ももれなく黙って居られるはずがなく、
「殺してやる…!!」
眉間に寄った皺を更に深くして、何時取り出したのだろうか、各々が手に持った漆黒の剣やら銃の形を模した武器を構えた。「相手は一人だ!殺れ!!」と叫ぶ女性の声に、一斉に飛び付きにかかる。直前、
「よいしょー!!」
の掛け声と共にバコーン!と何かの盛大な衝撃音が鳴った。奥の方だと見やると、扉“ だった ”残骸と、
「ちょっとふっか!佐久間も混ぜてっつってんじゃん!!」
その扉を破壊した張本人である佐久間が怒りの声を上げていた。
「俺を置いて楽しいことするなんて許さねえぞ!
このばか!おたんこなす!!序にここ狭いし!!!」
「俺の顔は小顔で老若男女が見蕩れるイケメンのまm」
「お前の顔はデカいよ」
「ちっげえよ!?」
この場に似合わなさ過ぎる、そして今のとはまた少し違うが、これと似ている会話を見たなと、少年は何時の間にか消えていた畏怖の代わりに深澤と佐久間を見て思った。
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作者名:Ju | 作成日時:2020年11月28日 8時