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「ごちそーさま、でした!」
茶碗の中のご飯粒も、サラダの具も、余さず綺麗に食べ切ると少年は手を合わせた。
そんな姿にメロメロな深澤は「偉ーい!偉いねえ、このこうちにくんねえかなお母さん」と宣うザマだ。
岩本はアホかと叱責すると少年の口の端に着いたタルタルソースや衣を拭い取ってやった。
「…ヒカルくん、ありがと!」
「いーえ。…なあ、マジで引き取りたいんだけどお母さん許して」
「ほらっ、ほら!人のこと言えねえじゃんお前!!」
悶えきった2人の様子に不思議そうな表情を浮かべて小首を傾げると、またもや深澤から「可愛い〜〜!」と声が上がる。その頬の緩みようと言えば1〜2時間前にあの氷点下のような冷たい眼差しをしていたのと本当に同一人物なのか、疑ってしまうほど。
残念ながら、同一人物である。
「おいふっか、そろそろこのこの母親来る時間だろ」
近くに来た渡辺の声に時計に目をやるともう直ぐ8時を指す頃、少年の母親が迎えに来る時間だ。
「お兄さん達から、キミに話すことがあります。
聞いてくれる?」
深澤が少年の手を取り、目の前にしゃがんで問うと、少し物憂げな深澤の様子を伺った少年は頷いて、座り直した。
「先ず、キミはさっきも聞いたと思うけど、魔女の子です。お兄さん達と一緒の、ね?」
そう言うと深澤は左の手のひらを少年に見せた。
鏡で見た自分の顔のマーク、そして自分を拐った女性の肘についていたマークと同じものがついている。
「これは魔女の証。でキミは未だ子供だから、多くの怖い人がキミを狙います。キミのお母さんは勿論、キミを守れるほど凄い強い。けれど、今日みたいないっぱいの相手をするのは大変なのよ。
だから、今日は俺らに預けて貰ったことで、キミを守りました。
でも、俺らは成る可くこの村を守るために頑張るけど、必ずキミのように助けられるわけでは無いのよ」
少年の目を見て話す深澤に、少年はうんうんと相槌を打つ。少年は聡い。
深澤達が居たから、あの女性の言う通りに知らない所へと売られることなく済んだ。今回は。
もし次に拐われることがあったとすれば、母は自分の身を守れないかもしれない、深澤達は居ないかも知れない、本当に売り飛ばされてしまうと言うことがあるかもしれないということを、少年は理解していた。
「だから、俺、ふっかさんと約束して欲しいことを今からキミに言います」
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作者名:Ju | 作成日時:2020年11月28日 8時