独りの少年と五年生。

(３)：雑渡視点 ページ31

秋も深まってきた頃。
木の上でお茶を飲んでいたら、下を歩いているあの子供が目に入った。

子供がふと上を向く。


目が合った。


山本「組頭、あの子なんじゃないですか？」

陣左が何か言っていたが、聞かずに追いかける。




速い。
猟銃を背負ってあの動きが出来るのは、賞賛に値する程だ。



私の様な大柄な人間に遭遇する事が滅多に無いからか、
かなりの速度で逃げられる。


…いや、ただの不審者として扱われている気がしてきた。




途中で苦無を投げられるも、崖まで追い詰めた。


どうやらタソガレドキ軍のことを知っていた様だ。
ならば話が早いと、密偵に関して礼を述べる。




更に後退された。何故だろう。




後ろ手に何か持っているのが見えた。

口を開く前に投げられたのは、通常より煙の量が多い煙玉。



尊奈門が咳き込む中、煙が晴れる。


飛んで後ろに逃げたか、崖を降りたか。






A「……………」


違った。



体温を奪う冷たさと共に首に突きつけられたのは、
真っ黒な銃口だった。

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