独りの少年と五年生。

もしかして…幽体離脱？　(１)：八左ヱ門視点 ページ17

あの子が今の状況を話してくれた。

そして、今の季節は秋で、空気も涼しい。
だが、これが夏や冬だと免疫力が落ちて治りも遅くなるだろう、とも。

確かにその点においては幸運だと言える。


取り敢えず寝ろと言われた。
まだまだ話し足りないが、この状態ではそうする方が身体にも良いだろう。


返事を言い切る前に、意識が遠のいていった。












夢を見た。


いや、正確には幽体離脱と言ったほうが良いだろうか。


恐らく寝落ちした瞬間、俺の意識が急に浮上した。

起きたということではない。物理的に、だ。


浮き上がってからすぐ、は視界がぐらぐらした。
ようやく安定した…と思ったら、






下に寝ている俺がいた。

ああ、幽体離脱か。
と、案外すんなりと状況を飲み込んだのち、



八左『……はあぁぁぁあああっ！？』

思いっきり叫んだ。





何しろ生まれてから、自分で自分の姿を見下ろす事など初めてである。
普通はこんな体験するはずがない。


夢という訳では無さそうだ。きちんとした意識がある。



しばらく辺りをふよふよと浮遊した。

ついでに寝ていると見ることが出来ない、この家の間取りも確認した。



…何か、胸に引っかかることがある。
何だったっけ。何か、大事なこと……。


八左「…っ、皆！！」

思い出した。大切な仲間たちのことだ。


もし、これが夢では無いのならば。
五年生皆の無事を確認したい。

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