薬屋は傾国美女でした。六巻 (ページ10)

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260話ページ10

怒った様子で翡翠宮(ひすいきゅう)を出ようとするA。

　それを壬氏(ジンシ)がしっかり腕(うで)を掴(つか)み止める。

壬氏(ジンシ)「どこへいき、何をするつもりだ？」

A「猫猫(マオマオ)を傷つけた女に会いに行くまでです。泣いて謝るまで泣かせてやるだけです。」

猫猫(マオマオ)「その泣くはどっちの泣くなの？」

A「もちろん三姫直伝の技よ」

　きりっとした顔で言うA。

　Aは基本、暴力(ぼうりょく)は振らない。
　ただし、暴力(ぼうりょく)はだ。

　幼い頃(ころ)から白鈴(パイリン)に教育され、悪(わる)いことをしたら必ず違(ちが)う意味で泣かされた。

　つまり、Aは躾(しつけ)とはそういうものだと思っている。

壬氏(ジンシ)「余計に駄目に決まっているだろう」

　壬氏(ジンシ)がむっとした顔で少々強めに言う。

猫猫(マオマオ)「私の顔だし、気にしなくていいよ。それで価値が下がったら下がったでそれまででしょ。」

　猫猫(マオマオ)の話を聞いてAは動きをぴたっと止める。

　Aは猫猫(マオマオ)の頬(ほほ)を撫(な)でて、『はぁ、、』とため息をつく。

A「私が怒ってるのは、大切な猫猫(マオマオ)が傷つけられたからなのよ。猫猫(マオマオ)の顔に傷ができたところで、貴方の価値は下がらない。ずっとそばにいた私が一番分かってる。」

　
猫猫(マオマオ)「、、、、人たらしめ。」

　猫猫(マオマオ)はAから目をそらし、照れ隠しする。

A「、、ちゃんと消毒した？薬は塗ったの？」

猫猫(マオマオ)「消毒はした。薬はまだ。」

A「私の部屋でまってて、今持ってくるから。壬氏(ジンシ)さまにも薬をお持ち致しますのでお待ちください。」

壬氏(ジンシ)「俺にもか？怪我(けが)などしていないが、、」