薬屋は傾国美女でした。六巻 (ページ7)

今日:75 hit、昨日:185 hit、合計:361,891 hit

257話ページ7

壬氏(ジンシ)「さすが俺の侍女だ。」

　嬉しそうに微笑んでいる壬氏(ジンシ)。

　Aは少し胸がむず痒(かゆ)いくなり、うつむく。

壬氏(ジンシ)「珍しく手をどかさないのだな。」

A「気分なだけです。(撫(な)でられて嫌(いや)じゃないのが腹立たしい。)」

　うつむいたまま少し口を尖(とが)らせるA。

　それを見て壬氏(ジンシ)は微笑むと、今度は真剣(しんけん)な顔をする。

壬氏(ジンシ)「そうか。ではこのまま。、、話は戻るが、私もその件については考えている。これからのためにも、もっと違(ちが)う形で医官を調達できれば良いのだが、、宦官がいなくともできるように。」

　確かに若い宦官はいない。

　なぜならここ数年、つまり今の皇帝に代替わりした際だ。

　ちょうどその時に宦官となる手術が禁止になった。

A「(もう少し待っていれば無くなることもなかったのに。)」

猫猫(マオマオ)「(かわいそうに、、Aなら姐(ねえ)ちゃん直伝の技を味わえるというに、、肝心(かんじん)なモノが、、)」

　二人は思わず視線(しせん)を下に落とし、壬氏(ジンシ)の股間(こかん)を見てそっと手を合わせる。

壬氏(ジンシ)「、、、なんだ」

　壬氏(ジンシ)は複雑そうな顔をしている。

　唇(くちびる)を少しギザギザに閉じて、薬師二人を見返す。

　薬師二人はいけないと思い目をそらす。

高順(ガオシュン)「壬氏(ジンシ)さま。つかえますゆえ、、。」

壬氏(ジンシ)「わかった。そうだ、のちほど翡翠宮(ひすいきゅう)に向かうと伝えてくれ。では、、」

　壬氏(ジンシ)はそう言うと、優雅(ゆうが)な後ろ姿で去っていった。

　その去っていく姿を確認すると、薬師二人は失礼な事を考えていた。

　『生える薬を作ったら、儲(もう)かるかな』

　と。