薬屋は傾国美女でした。六巻 (ページ32)

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282話ページ32

数日後、、

A「玉葉(ギョクヨウ)さま。お茶会まで、まだお時間がございます。少しお休みになって下さい。」

玉葉妃(ギョクヨウひ)「ええ。ありがとう。」

　Aは玉葉妃(ギョクヨウひ)を長椅子(カウチ)に座らせる。

　妊婦が長時間立つのは良くない。

　お腹が張って、流産につながるからだ。

　そして現在、内廷。

　皇太后や主上のお住いでお茶会が開かれるため、近くで控えている。

紅姫(ホンニャン)「、、A、皇太后さまがお呼びよ。」

A「、、はい。」

　紅姫(ホンニャン)がAを廊下へ連れ出す。

　すると紅姫(ホンニャン)は疑いの目でこちらを見てきた。

紅姫(ホンニャン)「どういう事？また面倒事を頼まれてるの？」

　きっと、先日の呪いの件である。

　だが、そんなことを口を裂けても言えない。

A「ただの相談事でございます。玉葉(ギョクヨウ)さまを裏切るような真似はしませんのでご安心を。」

　これは事実だ。

　玉葉妃(ギョクヨウひ)を敵に回す事なんてしたくない。

　なぜならば、猫猫(マオマオ)と楽に話せる環境が惜しいからだ。

侍女「それでは、付いてきて下さい。」

　Aを呼びに来たのは、先日皇太后の後ろにいた侍女。

　回廊を歩くと六つの宮が見えた。

　それを囲むようにいくつか棟(むね)があり、窓と柱の配置から細かくわけられられていることが分かった。

侍女「あちらの後宮ができる前は、こちらが後宮として機能していました。」

A「そうだったのですね、、」

　六つの宮が妃たちの住む部屋で、奥の棟はその他の侍女たちが住んでいたであろう。

　宮と宮の間を通り過ぎ、奥の棟へと入っていく。中は人の気配はないが、掃除が行き届いている。

　侍女はその後ももくもくと歩き進める。

　棟は中庭に面していて、枯山水の玉砂利には綺麗に掃(は)かれたあとがある。

侍女「ここです。」

　胸の中央に、他より少しだけ大きな部屋があった。