薬屋は傾国美女でした。六巻 (ページ27)

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277話ページ27

きっと、その地に住む長を夫としたのではないだろうか。

　濃くなりすぎた血を薄めるために、よそから来た者を娶(めと)ることは珍しくない。

　さらに、長ともなればそれがより優先されるはず。

　それなら、王母を祖としながらも男子継承となった理由が説明できる。

　しかし、王母、もしくは王母とともにやってきた者たちは、それをよしとしなかった。

　なので、長の血筋を立てながら、別の方法で王母の血をつなぐ方法を考えた。

　結果、それがこの廟(びょう)である。

　そして少しずつ、実際にあったことを穏(おだ)やかに曲げていった。

　よそから来た珍しい技術を持った者がいれば、時間をかければその民の中心になっていくこともできるかもしれない。

　文字を作り物語にしてしまえば、もっと簡単だ。

　当時のものがいなくなれば、それが事実になるのだから。

　平和で気長な乗っ取りがそれで成功となる。

A「、、(こんなこと言えないけど。知らない方が良かったかも。)」

　Aは都合の良い部分だけ伝えた。

　詳しくなんて聞かれないことを祈る。

　知らない方が幸せなときもある。

帝「つまり、余には王母の血が流れておらぬという事か？母は、帝の血がつながらぬ生まれだった。祖母も女帝もだ。」

A「確実な確認の方法としてこの廟(びょう)があるだけです。親にその特性があっても、子に受け継がれないときもあります。(帝の母が不貞をはたらいていなければの話だけど。)」

　Aは一瞬権力争いの後宮だ。

　無きにしも非ずだなと思ってしまう。

　ただ、そんなこと言えない。

A「それに、血が濃く受け継がれることによって弊害(へいがい)が起こります。」

　先帝の兄弟は流行り病で皆死んだそうだ。

A「廟(びょう)に選ばれるため、濃くしすぎたのでしょう。」

　Aが説明し終えると、老宦官がぱちぱちと拍手する。