薬屋は傾国美女でした。六巻 (ページ24)

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274話ページ24

帝は腹を抱え、Aの頭を撫でた。

　普段、翡翠宮(ひすいきゅう)でけっこうくつろいでいる様子だが、今日の様子はまた少し違う。

　かなり気が緩んでいるようだ。

A「(壬氏(ジンシ)さま、、ふてくされる)」

　ふてくされた子どものような顔で帝を見ている壬氏(ジンシ)。

帝「ならば、お前が代わりに連れていくといい。」

　帝はそう言うと老宦官を見る。

帝「それなら文句はないだろうか？」

　老宦官は苦い顔をする。

　そしてちらりと壬氏(ジンシ)を見る。

壬氏(ジンシ)「よろしいのでしょうか？」

老師(せんせい)「、、、主上がそうおっしゃるのであれば、私はそれに従うだけ。なによりその娘、何かを確かめようとしている。」

帝「余とて、それが何か気になるのでな」

　悪い笑みを浮かべる帝に、呆(あ)れたように廟(びょう)へ戻る老宦官。

　その行動に、帝は満足したようで、壬氏(ジンシ)とAに親指で示してみせた。

　再び入口から入る。

　今度は先頭が壬氏(ジンシ)で、その後ろに皇帝と老宦官が立つ。

A「(案外、共に入る者は誰でもいいのだろうか)」

　壬氏(ジンシ)は最初の部屋に入り、振り返ってAを見た。扉が三つ、青、赤、緑のものが並んでいる。

壬氏(ジンシ)「どれを選ぶ」

　看板に書かれているものは『赤い扉を通るな』だ。

　Aは青い扉を指差す。

　壬氏(ジンシ)はそれに従って青い扉を開ける。

　これは最初、帝が選んだ通りだ。

　ぴくりと老宦官の眉(まゆ)が動く。

　次の部屋は『黒き扉を通るべからず』

　赤、黒、白の扉がある。

Aは白い扉を選んだ。

　ぴくりとまた老宦官の眉が動く。

帝「ふむ、余の選んだ扉と違うわけか」

　帝は髭(ひげ)を撫でながら、壬氏(ジンシ)に続き白い扉をとおる。