薬屋は傾国美女でした。六巻 (ページ23)

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273話ページ23

壬氏(ジンシ)「全員、同腹ではないが、皇子を産んだ母君たちは姉妹だったと聞いたことがある。先々帝の従姉妹だったはずだが」

A「つまり、血が近かったということですね」

　やんごとなき血筋ならば、姉妹で娶ることも、近親婚をすることも珍しくない。

　事実、梨花(リファ)妃(ひ)も皇帝と縁戚(えんせき)関係にある。

A「もう一つよろしいでしょうか？」

　少しためらいがちにAは言った。

壬氏(ジンシ)「なんだ？」

A「無礼に聞こえる話かもしれませんので、、」

　場合によっては、手打ちにされるかもしれない。

帝「許そう」

　そう言ったのは壬氏(ジンシ)ではなく、帝だった。

　Aは大きく息を吸って吐いた。

A「代々、帝位を継いだのは、目が悪いかたが多かったのではないかと」

　それに一番反応したのは、帝でも壬氏(ジンシ)でもなく老宦官だった。

　Aはにやりと笑う。

帝「確かに、あまりよくなかったと聞いたことはある。しかし、先帝の目はよかったぞ」

　帝の言葉にAは確信を深めた。

A「、、本当は、もい一度入り確かめたいところですが、、ただの侍女ですので、、」

　Aは自分の分を一応わきまえている。

老師(せんせい)「そうだねぇ、娘さんには資格がないからね。」

　老宦官はやや悪戯(いたずら)めいて言った。

老師(せんせい)「あの廟(びょう)に、女性を連れてくることは何度もあったよ。しかし、それは公主(ひめ)、もしくは妃だった。さっきは連れて行ったけど、そう何度も入れるのは私としても気が引けるね。ましてや、扉の選択に口を出すとね」

帝「ならば、妃に召しあげようか。」

壬氏(ジンシ)「ご冗談を」

　壬氏(ジンシ)はすっとAの前に出た。

壬氏(ジンシ)「ほかの妃たちの目が光りますよ」

帝「それもそうだ。」