薬屋は傾国美女でした。六巻 (ページ16)

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266話ページ16

やたら細長く南北に伸びていた。

　傷みがほかの建物に比べて少ないのを見ると、定期的に手入れをされているのがわかる。

A「(まだ、なんか祀(まつ)るものでもあるのかな、、)」n

　横目で通り過ぎると、老師(せんせい)の部屋に着いた。

小蘭(シャオラン)「すみませーん。しつれいしまーす」

　間延びした小蘭(シャオラン)の挨拶(あいさつ)は褒(ほ)められたものではないが、老いた宦官はにこにこと出迎えてくれた。

　小蘭(シャオラン)の人懐っこさには呆れる。

　老宦官は孫にでも接するかのように、小蘭(シャオラン)に教え始めた。

老師(せんせい)「そこの娘さんたちは初顔だね？」

猫猫(マオマオ)「付き添(そ)いですので」

老師(せんせい)「そうかい。ではそこの椅子に座って待つといい」

　老宦官は目を細めて言った。

　猫猫(マオマオ)とAは言葉に甘えて、椅子に座る。

　窓の外を眺(なが)めて、先ほどの廟(びょう)を見る。

　廟(びょう)の柱は間隔(かんかく)が狭く、中で細かく部屋が分かれているようだ。

老師(せんせい)「あの廟(びょう)が気になるのかい？」

　老宦官がAと猫猫(マオマオ)にたずねた。

A「少し。変わった造りの建物だと思いまして」

　気になりだすと、ついついそちらに意識が飛んでしまうAと猫猫(マオマオ)だ。

　知らず知らずのうちに凝視(ぎょうし)していたのだろう。

老師(せんせい)「あれは、この地にもともといた民が造った廟だよ。王母さまは、この地を治める際、民が信仰していたものを拒むことはなかったのだね。それをうまく利用し、信仰をものにしたのだよ」

　王母というのは、老宦官の授業で話していた建国の物語に出てくる女性のことで、初代皇帝の母というかただ。

　話には諸説あり、亡国の生き残り、もしくは仙界から降りてきた女仙というのが一般的だろうか。

老師(せんせい)「この地を治める者は、あの廟(びょう)を通り抜けないといけない。そして、正しい道だけを選んだ者がこの地の長となる。王母さまはそう初代皇帝に伝えたと」

　そして、王母の子である初代皇帝はそれに合格し、この地を治めるようになった。