薬屋は傾国美女でした。六巻 (ページ11)

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261話ページ11

A「、、疲れた主を労る。それは私の、、侍女の役目ですので。」

　Aは目をそらしながら恥ずかしそうにそう言う。

　それだけ言い終えると、薬を用意しに行ってしまった。

　言われた通りに猫猫(マオマオ)と壬氏(ジンシ)はAの部屋で待つ。

壬氏(ジンシ)「、、あいつは、何かと面倒見が良いのだな。」

　壬氏(ジンシ)はAの寝台に座りそう言った。

猫猫(マオマオ)「昔からです。身請(みう)けするとき、Aの周りに五人の禿(かむろ)が居たのを見ませんでしたか」

壬氏(ジンシ)「、、そういえば、、他の妓女に比べて禿(かむろ)が多かったな。」

　身請(みう)けする際、Aの周りには他の禿(かむろ)達より上等な衣をまとっていた、禿(かむろ)五人がいた。

猫猫(マオマオ)「あれは皆孤児(こじ)なのです。Aについてきて、禿(かむろ)にして欲しいと頼み込んできたんです。」

壬氏(ジンシ)「Aの禿(かむろ)になれば、他と何か違うのか？」

　妓楼内の階級はほとんど後宮と同じだ。

　緑青館(ろくしょうかん)には中級、上級の妓女が揃(そろ)えられている。

　その中で、Aは禿(かむろ)の頃から客の前で踊(おど)り、歌い、演奏してきた。

　また、Aの猫のような性格が人気になった。

　商人や高官などが遊ぶことはできないが、今のうちから貢(みつ)いでおいて、Aの初物を頂こうと皆金や衣、薬や簪(かんざし)など。
　たくさんAに与えていたのだ。

　その貢物や客のおこぼれを、Aは自分の禿(かむろ)たちに与えていた。
　

　Aのもとにつけば、ほとんど売れることは間違いなかった。

　他の妓女よりも、あまり怒らず穏(おだ)やかなため、その点も禿(かむろ)達には良い点であったのだ。