ベルガモ 【2】

chapter：9 ページ37

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あれからどれぐらいの月日が経ったのだろうか




気付けば私も大人になり、今年で23を迎えるらしい







事故以来、勉強が全くもって追いついていけなかった私は高校卒業後は進学をせずそのまま就職した



特に能力は問われない地元の大型ショッピングモールにあるアパレルの定員






もうあれから4年も経ったのだ


その4年間は濃ゆくてとても過ぎるのが早かった







結局私の記憶は戻ることはなかったがそれはそれでもうとっくに受け入れていた




何より、私をずっとそばで支えてくれる人がいたから

だから私はここまで頑張って生きてこれた









「A、そろそろ行くで」




『うそ、もうそんな時間？』






私はあれから廉とお付き合いを始めた


毎日私のお見舞いに来てくれた彼





事故で弱った私が惚れるのにそう時間はかからなかった








気付いたら彼のことを好きになってて、退院後も同じクラスということもあり一緒にいることが多かった






そして卒業式の日に告白されて晴れて恋人となった





それから私たちはお付き合いを続け、この春

廉が大学を卒業したと同時に同棲も始めた






何もかも幸せな日々



しかし明日はもっと幸せな日を迎える2人が待っている









「やっぱ幼なじみの恋愛って漫画みたいやな」


『あの2人仲良かったもんね』







そう、明日は兄の紫耀と幼なじみのゆづきちゃんの結婚式





2人とも卒業後に上京して、私が知らない間に付き合ったらしい



とてもめでたい事だと思った








正直、紫耀とは結局不仲なままもう会ってないから本人にはまだおめでとうを言えてない


でも普通に未だに仲良くしてくれるゆづきちゃんにはおめでとうと言っておいた






それを知った廉はおかしいやろって笑ってたけど









でも、どこか複雑な気持ちだった



2人が結婚することはとてもこちらとしても嬉しいことなのに




何故か紫耀が取られた気分だった






取られるも何も元々私たちは全然関わらなかったのに


本当にそこだけは引っかかったまま



紫耀への恋心なんてとっくに消えていたはずなのに






素直に喜べない気持ちに気づかないフリをして、2人が式をあげる東京行きの空港に足を向けた

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