ただ、縋られたいだけ。【fj】 (ページ9)

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「でも、無視は悲しいよね」

「…」

幼児をあやす様に語りかければ、いつものスイッチが入る

不安な時も、悲しい時も

大人な自分を保つのに限界を感じて爆発する

いい歳した大人が、と言えど個人的なものだ

どうしようもないじゃないか

こうやって、発散させてあげないと

「…怖かった」

「何が怖かったの？」

「こうやって、変になる自分が、怖くて」

ほら、こうやって悩み事も促さないと言えない

そんな人を、放ってしまったら

「怖くて、恥ずかしくて、」

綺麗な顔もぐしゃぐしゃにして泣く姿を誰も見ていなければ

彼は

フジくんは

「おかしく、なっちゃいそうで」

壊れてしまう

「嫌な事言われたの？」

「ううん、でも、きっと皆…」

そう言って、自分の喉に指を宛てがう

その手を強く掴んで阻止する

小さく息を呑む音がするがお構い無しに

「フジくん、駄目だよ」

次から次へと大きな涙が溢れる目をじっと見て

少し、笑いかけた口元を保って

優しく、優しく

「これ、痛いからね」

「うん、」

「ここに、仕舞おうね」

添い合わなければ、彼みたいな人はすぐに壊れる

それでも強がる人種だ、誰かが居なければ

愛なんて無くとも

それでも、私たち二人は愛なんて生温い領域では無いのだ

取った大きな手を私の手で包めば、人の温度を感じる

低めの体温が、段々と、暖かく

「…うん」

その涙も、冷たくないように

包んだ手が握り返してくれる

小さな子供のように安堵した笑顔で満ちて

また、静かに眠れるように