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綺麗な瞳を眩しい程に輝かせて店内を見回るフジくんの隣
爽やかすぎる顔立ちには似つかない、なんて思ったりもするけど
「見て、A」
「ん？」
ほら、と袖を引かれる方を見れば、店の隅に飾られるレコード達
ああ、好きそう
行こうかと手を引けば、うん、と照れ臭そうに笑う
無邪気さなんてどこかに置いてきたかのような彼だったが、今日だけは童心に帰らせよう
「レコードなんて音楽の授業の時にしか見たことないなあ」
「俺は親父がこういうの好きだったなあ」
「…そうなんだ、かっこいいね」
初めてだ
何気ないその一言で思わず息が止まった
家族の話をして来るなんて、あの堅口のフジくんが
それほどに、身内の話を嫌がる彼が
仲が悪いだとか、そういうのじゃないとは分かっていたけど
どうせ、今の自分が嫌で情けないからだと思っているんだろうけど
それでも、確かに初めてだ
今、初めて
「A」
「ん、え？」
「にやけてる？」
ハッとなって口元を抑えた
違う、これは、ああ、反論しなきゃ
「あの、これは、」
「Aも好き？」
「え？」
小さな声で、首を傾げて聞いてくる姿がやっぱりどこか儚くて
それでいて、今日は何だか幼くて
ほんわかのんびり、そんな表現が合うほどに柔らかく
ちょっとだけ哀しそうに、微笑んだ
それに、私はまた息を止めてしまって
「…うん、」
口を開けることもせず二つ返事をしてから
「好き、だよ」
同じように笑って見せた
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作者名：じーにゃ | 作成日時：2018年4月15日 22時
