43話:合宿1日目 ページ44
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大「着いたで」
『……っ、………わぁっ…』
暫くの間、視界が暗かったため、いきなりの光に目を細めた。
目が慣れてきた時、目の前には海が広がっていた。
大「ほんまは夜やから出てきたらあかんねんけど」
『……綺麗』
大「……みせたかってん、Aに」
『……ありがとう』
大「ん…」
ただ静かな時間が過ぎて行く。
その時間を割くように、口を開いたのは大毅だった。
大「お前でも、そんなん着てたら色っぽく見えんねんな」
『え？なに？喧嘩売ってんの？』
大「…………いや、Aやから…か」
『………ぇ？』
視界は暗く、大毅の姿を捉えることはできない。
その時、小指に何か触れた。
きっと、大毅の手のひら。
.
大「……手、繋いでもええ？」
『………ぅ、ん』
大「ん、ありがと」
そう言って、私の手のひらに自分の手のひらを重ね、優しく包み込む。
鼓動が止まらない_____……。
大「アイツは、さ」
『？』
大「鈍感やから、言わなわからんやろうし
天然やから、誰相手にもあんなことすんねん」
『…！』
そう言われて、脳内に出てきた人物はただ1人。藤井くん。
そして、藤井くんが菜沙那の髪に触れそうだった場面がフラッシュバックした。
大「見たくないことは見んでええ
……ただ、どうしても見てもうたら、俺がおるから。…な？」
その大毅の優しい声に、私は涙が溢れそうだった。
その言葉の返事のように、握られた手を、キュッと握り返した。
.
____夜の中に消える黒い海に、私も吸い込まれそうだった。
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作者名：りんな | 作成日時：2017年4月24日 18時
