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『あの人が私たちに課せたものは何だ?"人を救う"ことだろうが。
手前が探偵社
私達は、まだ多くの人を救うんだよ。
それが終わってねぇのに、あの人の元へ行こうなんざ100年早えわ』
ふん、と息を吐いたAを見て、思わずぽかんと口を開けてしまった。
そして、腹の底からくつくつと笑いが溢れだしてきて、思い切り笑ってしまう。
「ふっ…くく、…っはは…あははっ!!」
Aの横と私の横に座る警官2人は、ギョッとした様子でこちらを見つめ、後ろの安室くんからの視線は鋭く痛い。
当の本人は、まるで不審者を見るような視線を送っている。
そんな視線を送らなくたっていいじゃないか。なんて思いながら、青く輝く瞳を見つめた。
「全く、本当にAはカッコイイねぇ…」
『…急になんだよ、気持ちわりぃな』
私とAの付き合いは、もう10年にもなる。
それだけ、彼女を見てきた。
何時だって彼女は強く、逞しかった。
出会った当初は、怪我も多く弱々しい雰囲気でいつも中也の後ろにいたのだが…
それでも彼女の眼は、芯の篭もった強い眼をしていた。
自分は、何があっても決して負けない、とでも言わんばかりの強い眼差し。
そんな所に、私は惹かれたのだ。
だと言うのに…
「なんで私じゃないのかねぇ」
『…?』
怪訝そうに眉をひそめ、首を傾げるA。
その姿を見るだけで、愛しさが込み上げてくる。
しかし、将来彼女の横に立っているのは私ではなく、あの安室…否、降谷くんなのだろう。
それが酷く悔しくてたまらない。
10年なんて年月を重ねていけば、飽きてしまうだろうと思っていたのに、想いは募っていくばかりで。
あぁ、本当に
「…やっぱり心中しないかい?」
『私が言ったこと理解してねぇのか手前』
君が私と共に、この世界から消えてくれるなら。
そうしたら、君は誰のものにもならず…一生私だけのAで居れると言うのに。
ちらりと見える、彼女の首元。
私の大嫌いなアイツとお揃いのチョーカー。
それがとても腹立たしく思えてしまって。
私だけのAでは居てくれないのに、中也には独占する権利が与えられている…そんな風に考えてしまって。
そんな、子供みたいな駄々を…抑えきれなかった私は…
『だ、ざい…?』
彼女の首に、手を添えた。
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イアデビル(プロフ) - とても面白いです!最新頑張ってください!!応援してます!! (2020年3月14日 16時) (レス) id: ef5404f845 (このIDを非表示/違反報告)
佐倉優衣(プロフ) - まゆさん» 遅くなり大変申し訳ありません!ありがとうございます!! (2020年1月12日 14時) (レス) id: c735a0a519 (このIDを非表示/違反報告)
まゆ - 続編おめでとうございます^_^すごく面白かったです^_^続きが、すごく気になります^_^これからも、頑張って下さい^_^ (2019年8月8日 13時) (レス) id: 35cf1a0a87 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:佐倉優衣 | 作成日時:2019年8月6日 16時