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「ただいま」
『…兄さんおかえり』
夜10時過ぎ。
兄さんが、疲れた様子で帰ってきた。
リビングに入ってきたことを確認して、ソファに座ったまま話しかける。
今日、思ったことを。
『…なぁ、兄さん。』
「んぁ?」
『…やっぱり、私もポートマフィアに入るよ』
「…何でだ?」
兄さんは、外套を脱ぐ手を止めて私を見つめた。
『っ…やっぱり、兄さんばかりが汚れてくのは、可笑しいと思う。
兄さんばっかり汚れて、辛い思いして、頑張って、罪を重ねて…私だって、兄さんの役に立ちたい、守りたいっ…
負担を、軽くしたい…!!』
今日思った本音を告げると、兄さんは静かに口を開いた。
「…A、ありがとうな。でもダメだ。手前は
『なんで…っ私だって戦えんだよ!!兄さんが教えてくれた体術と、この異能を使いこなしてみせる!!
そりゃ、よく狙われるけどっ…でも私は!!』
「あのな、A。手前は俺の後ろで笑ってくれりゃそれだけでいいんだ。
Aが笑ってられるなら、俺はどんなことだってやれる。例え、それが殺人だろうとも、己の哀しみを汚そうとな。
…でも、
『っけど……わっ』
兄さんは、いつも被ってるお気に入りの帽子を私に被せた。
「…あのな、Aを守るって言うのは、俺のプライドなんだよ。
守って、Aが幸せに暮らしてくれるならもう十分なんだ。…だから、
Aは普段通り、家で飯作って俺を待っててくれ。
そしたら俺は、手前の待つ家に帰っから。」
兄さんは笑った。
綺麗な笑みを浮かべて。
そこまで言われてしまえば、もう何も言えないではないか。
『…わかった、待ってるよ。今のまま、ただの高校生のままで。
だから、帰ってこいよな。』
私も、負けじと笑みを浮かべる。
「おう。…さ、飯食おうぜ。」
『あぁ、準備してくる』
ソファから立ち、兄さんに帽子を返す。
そして、キッチンで夕飯を温め直した。
…そういや、ひとつ気になったことがあったな。
自分は、結構なブラコンだと自覚してたが…
《『ぅあ、やだ、やだ、やめ…!兄さっ…安室さぁぁああああっ! !』》
なんで私、あん時安室さんに助け求めたんだ…?
まぁいいか。と、飯の準備を急いだ。
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佐倉優衣(プロフ) - ゆいさん» あ、本当ですね!申し訳ありません!ご指摘ありがとうございます! (2018年6月3日 15時) (レス) id: c735a0a519 (このIDを非表示/違反報告)
ゆい(プロフ) - 助っ席ではなく、助手席では? (2018年6月3日 14時) (レス) id: a6574a601a (このIDを非表示/違反報告)
佐倉優衣(プロフ) - ユキナさん» 続きを考えて頂けるほど、深く考えて頂きありがとうございます!そうですね、入れたいとは思ってます( *´ ∀ `) (2018年5月28日 23時) (レス) id: c735a0a519 (このIDを非表示/違反報告)
ユキナ - 次の話辺り、戦闘が開始されますね…太宰VS中也…安室さんも恋沙汰には入るかもなぁ♪ (2018年5月28日 23時) (レス) id: 0f45599fe0 (このIDを非表示/違反報告)
佐倉優衣(プロフ) - アオさん» ありがとうございます!!頑張ります!(ノ´∀`*) (2018年5月28日 17時) (レス) id: c735a0a519 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:佐倉優衣 | 作成日時:2018年5月24日 15時