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「恩人、ですか?」
『はい。私、数年前に外国で男性に助けていただいたことがありまして…。その人と雰囲気が似ていたものですから。』
頬を人差し指でかき、誤魔化すように笑う。
「…(まさか、な。)Aさん、あっちにクレープ屋もあります。良ければどうですか?」
『あ…本当ですね、クレープ食べたいです』
「では行きましょう。またね、皆」
『ばいばい。』
「ばいばーい!」と手を振る子供たちに可愛いなぁと癒されつつ、安室さんの横に並ぶ。
クレープ屋で、チョコバナナのクレープを頼み、頬張る。
『ん、美味しい…』
「Aさんは食べ物を食べている時が1番幸せそうですね」
『はい、否定はしません。』
和やかな雰囲気に安らいでいると、今度は暖かい視線が私達を…否、"私を"包んだ。
先ほどからの犯人に、目星がついた。
はぁ。と重いため息をつく。
「…Aさん」
『分かってます。…一発しばきますので、少し離れましょう。』
安室さんの手を引き、人目の少ない木々の中に入っていく。
後ろの気配がついてくるのを確認して、ゆっくり手を離した。
『…異能力《宛名のない手紙》』
赤い字列と柔らかな風が私を包む。
カバンの中から紙を1枚、浮かせて取り出す。
「これが、Aさんの異能力ですか」
『はい』
空中でグシャグシャと限界まで丸め、固くなったところで、
「あだっ」
犯人の元へ飛ばした。
『そこで何をしてんだよ…兄さん』
木の上から、兄さんは姿を現した。
ムスッと膨れた顔をして。
「時々僕に殺気を送ったのは貴方ですよね?中原さん」
「ったりめぇだ!!」
『開き直んじゃねぇよ…』
はあ。とため息をついた。
『…で?なんで兄さんここにいんだよ。仕事は?』
「速攻で終わらせた。ここに来たのは、Aに悪い虫がつかねぇようにするためだ。」
『?虫除けかけてきたけど?』
「足りねぇ。」
『足り…?』
虫除けに足りないとかあるのか。と、口もとに手を当てて考える。
「足んねぇからそこに虫が着いてんだろうが」
『そこ…え、安室さんのこと言ってんのか?』
おう。と、兄さんは腕を組んで答えた。
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佐倉優衣(プロフ) - ゆいさん» あ、本当ですね!申し訳ありません!ご指摘ありがとうございます! (2018年6月3日 15時) (レス) id: c735a0a519 (このIDを非表示/違反報告)
ゆい(プロフ) - 助っ席ではなく、助手席では? (2018年6月3日 14時) (レス) id: a6574a601a (このIDを非表示/違反報告)
佐倉優衣(プロフ) - ユキナさん» 続きを考えて頂けるほど、深く考えて頂きありがとうございます!そうですね、入れたいとは思ってます( *´ ∀ `) (2018年5月28日 23時) (レス) id: c735a0a519 (このIDを非表示/違反報告)
ユキナ - 次の話辺り、戦闘が開始されますね…太宰VS中也…安室さんも恋沙汰には入るかもなぁ♪ (2018年5月28日 23時) (レス) id: 0f45599fe0 (このIDを非表示/違反報告)
佐倉優衣(プロフ) - アオさん» ありがとうございます!!頑張ります!(ノ´∀`*) (2018年5月28日 17時) (レス) id: c735a0a519 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:佐倉優衣 | 作成日時:2018年5月24日 15時