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「…っはぁ…そんなこと、軽々しく言ってはダメですよ」
『?そうなんですか』
「そうなんです」
安室さんは、ひとつため息をついた。
「…確かに僕には、貴方に言えない秘密が沢山あって、隠し事も多いです。
けど、Aさんには…いつか全てをお話したい。その時は…聞いてくれますか?」
『!…自分で良ければ、いくらでも』
そう言って笑えば、安室さんもふわりと優しい笑を浮かべた。
「Aさん」
『?なんです…っ!?』
むに。と、静かに柔らかい何かが頬に触れた。
それが何かを理解するのに、時間はかからなかった。
『…ダメなんじゃなかったんですか?』
「僕はいいんです」
『?…よくわからないです』
イタズラに微笑む安室さんに対し、む。と眉を潜める。
まぁいいか。と、気にすることをやめ、車を降りた。
にこにこと手を振る安室さんに、頭を下げると、安室さんは帰っていった。
『…ふぅ』
「よぉ。遅せェ帰りだったな」
『うわっ!?』
油断して一息ついた時、後ろから声がかけられ、ふわっと白い煙…恐らくタバコの煙が顔にかけられた。
否、後ろからというよりは
『ケホッ…異能使って天井にぶら下がるのやめろよ…兄さん。』
天井から、だが。
「…あいつといい雰囲気だったな」
『安室さんと…いい雰囲気ってなんだ?』
「あー…手前はまだ知らねェでいいんだよ」
『あ?意味わかんねぇ』
「よっ」と軽い声と共に、兄さんは異能を解除して横に並んだ。
ごしごしと、いつもの黒い手袋をつけたまま私の頬を擦ってくる。
『ん、兄さん痛ェ』
「あ?こんくらいやんねェと落ちねェだろ」
『んな安室さんを菌みてぇな…』
「あんなもんバイ菌だバイ菌。」
『バイ菌って…』
「ほら、いいから家入んぞ」と、兄さんは手を差し伸べる。
私は、差し伸べられた手を見て口角が上がるのを堪えつつ、兄の手を取り歩いた。
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佐倉優衣(プロフ) - ゆいさん» あ、本当ですね!申し訳ありません!ご指摘ありがとうございます! (2018年6月3日 15時) (レス) id: c735a0a519 (このIDを非表示/違反報告)
ゆい(プロフ) - 助っ席ではなく、助手席では? (2018年6月3日 14時) (レス) id: a6574a601a (このIDを非表示/違反報告)
佐倉優衣(プロフ) - ユキナさん» 続きを考えて頂けるほど、深く考えて頂きありがとうございます!そうですね、入れたいとは思ってます( *´ ∀ `) (2018年5月28日 23時) (レス) id: c735a0a519 (このIDを非表示/違反報告)
ユキナ - 次の話辺り、戦闘が開始されますね…太宰VS中也…安室さんも恋沙汰には入るかもなぁ♪ (2018年5月28日 23時) (レス) id: 0f45599fe0 (このIDを非表示/違反報告)
佐倉優衣(プロフ) - アオさん» ありがとうございます!!頑張ります!(ノ´∀`*) (2018年5月28日 17時) (レス) id: c735a0a519 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:佐倉優衣 | 作成日時:2018年5月24日 15時