3ー3 ページ28
・
『兄さん…飲みすぎ。明日も仕事なんじゃねェのかよ?』
小さい机に無造作に置かれた空き缶と、空いたワインボトルをぽいぽいと捨てていく。
使い終わったであろう食器を、シンクに入れて水で浸していく。
「A〜…成長したなァ…」
『そうだな、兄さんを越したよ』
「む、A…僕と、たた、かえ…」
『嫌ですし、酔いを覚ましてから言ってください。やりませんけど』
少しでもマシになれば、と水を2人に差し出した。
『ったく、飲みすぎだろ…』
浴衣探す間でどんだけ飲んでんだよ…と心の中で悪態をつく。
水を飲んで意識が戻ってきたのか、兄さんや芥川さんが頭を抑える。
「ってぇ…」
『おかえり。酔いは覚めた?』
「だいぶな…」
「あ"ー…」と野獣の様な声をもらす兄さんに、クスリと笑みがこぼれる。
『あ、そうだ兄さん。私浴衣持ってなかったっけ?』
「あ?Aは…あぁ、姐さんが持ってんじゃねェか?」
『あぁ、そうか。』
姐さんか。連絡つくかなーとスマホを取り出す。
「祭りか?誰と行くんだ?蘭って子か?」
『安室さん』
「…あ"?」
「な、中原さん…?」
唐突にガラ悪くなった兄さんを見て、芥川さんが不安げに名前を呼ぶ。
「…あー…まぁ、楽しんでこいよ。」
『?あぁ』
なんなんだ?と疑問に思いつつ、姐さんに連絡を入れた。
姐さんによると、明日家に来て浴衣の着付けをしてくれるそうで。
嬉しくて、つい頬を緩ませた。
嗚呼、明日が楽しみだ。
その時、兄さんが何かを企んでいるとは知らずに。
・
「A〜!久しいのォ!」
『姐さん!わざわざごめんな。』
「いいのじゃ。数少ないAからの頼みじゃからのォ」
3時頃。
チャイム音がなり、扉を開けると、姐さんがぎゅっと抱きしめてくれた。
つられて私も抱きしめ返し、中へ案内した。
リビングで姐さんが慣れた手つきでせっせと浴衣を着付けてくれる。
「さて、こんなものかの。うむ、よく似合っておる。Aは本当に愛いのう。」
『ありがとう姐さん』
頬を緩ませてへにゃ。と笑えば、姐さんがまた抱きしめてくれた。
さて、そろそろかな。
620人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
佐倉優衣(プロフ) - ゆいさん» あ、本当ですね!申し訳ありません!ご指摘ありがとうございます! (2018年6月3日 15時) (レス) id: c735a0a519 (このIDを非表示/違反報告)
ゆい(プロフ) - 助っ席ではなく、助手席では? (2018年6月3日 14時) (レス) id: a6574a601a (このIDを非表示/違反報告)
佐倉優衣(プロフ) - ユキナさん» 続きを考えて頂けるほど、深く考えて頂きありがとうございます!そうですね、入れたいとは思ってます( *´ ∀ `) (2018年5月28日 23時) (レス) id: c735a0a519 (このIDを非表示/違反報告)
ユキナ - 次の話辺り、戦闘が開始されますね…太宰VS中也…安室さんも恋沙汰には入るかもなぁ♪ (2018年5月28日 23時) (レス) id: 0f45599fe0 (このIDを非表示/違反報告)
佐倉優衣(プロフ) - アオさん» ありがとうございます!!頑張ります!(ノ´∀`*) (2018年5月28日 17時) (レス) id: c735a0a519 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:佐倉優衣 | 作成日時:2018年5月24日 15時