隣の席の子が勘違いでめっちゃ追い回してくる【夜久衛輔】 (ページ32)

今日:13 hit、昨日:377 hit、合計:60,055 hit

. ページ32

.

逃げ回るやっくんを必死で追いかけ、気づけば体育祭も終わりに近づいていた。

たまに応援に戻っていたので何度も見失ってしまったが、周りの協力を得て捕まえる手前までいくのだがすんでのところで逃げられる。

そろそろ私は走って追いかけるとすぐ見つかってしまうことに気付き、そっと物陰から近づくことにした。

そして次に見つけた時は数人の男子と話していてバレないように口に人差し指を当てながらコソッと近づいた。

バレないように腕を掴む。

「おいおいなんだよ〜」

誰に掴まれたのか気付いてないやっくんはこちらを見る。

「は、え、は…A？」

『やっと捕まえた！！』

再び逃げられかけたが周りの人たちに取り押さえてもらった。

男子数人に引き摺られてきたやっくんはとうとう諦めたようだ。

「もう、離せ！分かった、分かったから！！」

「A、別の場所で勘弁してくれ…。」

『また逃げたりしない？』

もっと揶揄ってやるつもりだったが、あまりにも真っ赤なやっくんの顔を見ているとその気は失せてきた。

移動する時少し後ろを歩いていると、距離が遠いと腕を引っ張られてしまった。

「今度はAが逃げるつもりか？さっきまであんなに追いかけてきたのに。」

そう言って繋いだ手を上げ見せつけてくる。

いつもより速度を上げた鼓動が頭の中で響いている。

手を引かれた恥ずかしさで俯きながら歩いていると、人気のない校舎の裏側までやって来ていた。