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目が覚めると、全身の痛みがほとんど引いていた。あと繋がっていた管が全て取れていた。
痛みが引いたのはあのソウル？ とやらを出す機械のおかげだろうか。
(ん、というか、あれ？)
ぐっぐっ ぐいぐい ぎゅっぎゅっ
(身体が！！ 動く！！)
ぷるぷる震えるが、動けている。
ここ数ヶ月できることと言えば視線を動かすか寝るかしかなかったものだから、とても嬉しい。身体を動かせるのって俺にとっては当たり前のはずだったのに、その当たり前のことが、とても嬉しい。
いや待て、ということは⋯⋯。
ヒョイっ スタッ
(あ、歩ける！ 歩けるぞ⋯⋯！！)
この謎の研究施設で気が付いてから、少なくとも一ヶ月が経過している。一ヶ月でやっと、自分で地に足着けて歩くことが出来ている。
⋯⋯膝が生まれたての小鹿のようにぷるぷるしているのには目を瞑るとして。
(何か暇潰せるものないかな)
俺、今まで言ってなかったかもしれないが、すっっっっっごい暇。とても暇。だって俺の生活、“寝るor考える”しかない。
何か、パズルとかちょっとしたおもちゃとか、本とかないかな。
ぐるっと見回すと、この部屋には、
・ベッド(俺が寝てたとこ)
・謎の機械(ベッド横の、博士が操作してたヤツ)
・身長と同じくらいの大きい鏡
・テーブル(ベッド横の一本足の小さいもの)
がある。
⋯⋯ろ、ろくなものがねぇ⋯⋯。
流石にここまで何もないと思ってなかった。本の一冊くらいあっても良くない？？
(鏡か⋯⋯)
⋯⋯こういう暗い場所の鏡って、ホラゲーだと大抵後ろにいるって展開になるんだよなぁ。
⋯⋯。
⋯⋯。
か、改造されてるかもだから、ね。確かめなくちゃ、ダメ、だよね、ウン。
⋯⋯誰に言い訳してんだろう。
そろーり······
目を両手で抑え、足元だけを頼りに、鏡の前まで歩く。
⋯⋯深呼吸をして。
(⋯⋯いざ！！)
シュバッと効果音が付きそうな勢いで手をどける。
「⋯⋯え？」
鏡に写った俺には
“顔がなかった”
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作者名：名無し40992号 | 作成日時：2024年2月27日 20時
