77 尾で分かる ページ27
「あ〜漫画大好きですもんね。」
彼女は生粋のオタク。
たまにあるマニアックさが凄くよく共感できる。
「そうですね。漫画大好きすぎてやらせてもらってます。」
しまった。口を滑らせすぎた。
「あ〜えっと…」
「私もtowacoさんの動画見てますよ。
×××のパート2…6:35あたりキレッキレで面白いです。」
「細かく覚えててくださって…ありがとうございます。」
その後の控え室までの廊下は無言だった。
あれ、この子…土足で入り込んで来たりとかしないんだ…
「お疲れ様で〜す！」
彼女が控え室へ顔を覗かせると
コハクさんだ〜！！とほとんどの人が反応する。
控え室の空気がガラッと変わる。
そしてそれに反応したスタッフさんが
間髪いれずに彼女を打ち合わせに呼んだ。
俺も舞台へ上がるための衣装へと着替えた。
しばらくして彼女は衣装へと着替えてから
手にファインダーを持って控え室へと帰ってきた。
「すみません、towacoさん。」
彼女がファインダーを開けながらこちらへ向かってきた。
「はい。」
「ここなんですけど…」
指差された場所について一通り説明をされ理解した。
リハーサルのときから
自分の所だけ変わったことがあったようでその説明だった。
パッと全体的にファインダーに挟まれた紙を見た。
「…丁寧ですね。」
書き込みの量が…情報の量が凄い。
両開きの右側にあるのは
今日の出演者についての事細かいプロフィール。
俺の動画を見ている。というのは
もしかしなくてもこの為なのではないか？
左側には今日の司会者のタイムスケジュール。
ピンク色の蛍光ペンで所々印が付けられている。
「こうやってしないと覚えられなくて…笑」
秘密にして欲しいといった風に小声で話す彼女。
そしてまたスタッフさんに彼女は呼ばれた。
「俺…黒髪ロングが好きやわ。」
「え？突然？」
「towaco仕事で疲れすぎたか？」
その後の活動で沢山。
彼女と関わってきた。
その過程で呼び名は
towacoさんからtowacoくんへと変わったのだが、
彼女は俺への扱いに慣れてきたのか
いつの間にかとわぽんやわっこへと変わった。
正直美人ならなんでもいいが、
俺は、黒髪ロングが好きだ。
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作者名：みこと | 作者ホームページ：http://なし)ー
作成日時：2022年1月20日 23時
