us_腹痛 ページ11
恋人設定
一瞬嘔吐表記アリ
――――――
晩飯を食べて1時間ほどが経った頃。
ソファーに座って、
珍しくテレビを二人で見ていたときだった。
お手洗いから帰ってきた彼女が俺の膝に倒れてきた。
なんだよ甘えたかよ〜とニマニマしながら
彼女の顔を覗き込むと異様な雰囲気を感じ取った。
「A？」
「痛すぎ…」
「え…？」
ギュッと鳩尾辺りを押さえた右手に青白い顔、
俺がしっかりしなければ。と一瞬でスイッチが入った。
詳しい知識があるわけではないので
充電器に刺してあったスマホを引ったくって検索をかけた。
いつから？どこが？どんな感じに？と
見つけた問診票のサイトを読み上げて
答えてもらい入力していく。
「さっき戻してたのか…悪かった。気づいてやれなくて。」
「うんん…急だったから。」
「今のところ救急性はないみたいだけど…
しんどいよな…温めてみるか？多少は違うかも。」
僅かに頷いた彼女の頭を浮かせて
静かにソファーへと移動させた。
「一応ダメになったらココな。置いとくから。」
とりあえずゴミ箱を近くに置きソファーから立ち上げる。
まだ仕舞いきっていなかった湯たんぽを取り出してきて
ケトルで熱々に沸かしたお湯を注いで蓋を閉め
タオルに包んで先に彼女に渡した。
「ありがと…」
もう一度キッチンへと向かい水も持ってきた。
ソファーの目の前にある机にグラスを置いて
俺もソファーに座る。
「A。」
「――…背中に手、当ててくれない…？」
「こうでいい？」
小さく丸まった彼女の背中に手を置いた。
「ん…ありがと。」
「全然。ほか出来ることあったら言って。」
湯たんぽはお腹のあたりでぎゅっと抱いて
大きく深呼吸を続けながら
自分自身を落ち着かせている彼女。
背中の手は無意識のうちにトントンと軽く叩いていた。
5分後、テレビのにぎやかな声が響くなか
彼女はしかめっ面をしながら眠りに落ちた。
次目覚めたときには痛みが無くなっているといいな…
そう思いながら背中を軽く叩いていた手を
頭に乗っけて撫でた。
彼女も無意識に一瞬頭を押し付けてきた。
それがもう…可愛くて可愛くて、仕方がなくて。
守ってやりたくて。
こんなときにも彼女を…Aを絶対離さない。
なんて思えてしまった。
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作者名：みこと | 作者ホームページ：http://なし)ー
作成日時：2023年10月14日 22時
