rt_発熱_#03 ページ25
ゆっくり扉を開ける。
玄関先には見える肌という肌は血色良く火照った
彼女が立っていた。
「レトさ…」
立っていた力がふわっと抜けた。
「危なっ…」
普段の俺じゃありえないような速度で彼女を支えた。
発火するんじゃないかと思うほど体が熱い。
「安心…しちゃ…った…ごめん…」
「そっか。来て正解だった。」
立ったまま体重を全預けされるのは
買い物袋を持った俺には流石にしんどいので
肩を貸して途中のリビングに荷物を一旦置いて
寝室へと移動。ベッドに座らせると
そのままバタンと布団に向けて倒れた。
「レトさん…手、貸して…お願い…」
「全然握ってあげるけど、先に布団の中入ろっか。」
モゾモゾと動いて掛け布団の中へと入っていった。
「はいはい。お望みのレトルトさんのおててですよ〜。」
左手を出すと人差し指だけをキュッと握られた。
「………。」
いつも本当に元気なやつだから
実は結構コチラも調子が狂う感じがあって
おちょくる…っていうかなんだか安心したくて
"おてて"なんて言ったもんだから
こんなことされちゃ…反動がヤバい。
「冷えピタ貼ろうか。」
「うん。貼る。」
冷えピタは買ってきた袋の中。リビングにある。
取りに行くためには立ち上がらなければならないが
立ち上がると勿論手は外れてしまう。
「すぐ帰ってくるから。」
そうだよな。そもそも寂しいから俺がここにいるんだもん。
そんな寂しそうにしないで。
でも治してほしいちょっとでも楽になってほしいからね。
動くよ。
爆速で冷えピタとその他今、必要そうなものを
ピックアップして部屋へ持ってきた。
冷えピタは首に貼って、
ペットボトルにストローを指して飲みやすいようにした。
準備が終わってから左手をヒラヒラさせると
また人差し指だけを掴まれた。
「飲み物飲む？」
「うん、飲む。」
彼女は右手で俺の左手を掴んでいるから
外したほうが楽だろうに離しはしなかった。
「寂しさとかため過ぎたらこうやって爆発するんかもなぁ。」
「レトさんは寂しさ埋めてくれる何かがあるってこと…？」
握っている手の力がほんの少しだけ抜けた。
「猫は確実に何割かあるな。
でも彼女なんておったら今、こうやっておらんわ。」
犬やら猫やら一緒に住みだすと
恋人で埋まるかもしれない部分がその子達に行くから
婚期遠くなるよ。なんてよく言ったものだ。
「そうよね。」
その寂しさを俺が埋めたいなんて
貴女が気づくのは…ほんの少し先なんだろうな。
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作者名：みこと | 作者ホームページ：http://なし)ー
作成日時：2023年10月14日 22時
