殺し方6 ページ10
「死にたい」
やった。
そんな喜びを声にしようとした。
「、て言ったらどうする？」
ああもう、本当に。この男は、なぜこんなにも人の神経を逆撫ですることができるのだ。
『…期待させないで。』
「答えろよー」
ぶーぶーとおちゃらけたブーイングを見せて、あざとく頬を膨らます彼に微塵の可愛さも感じることができない。排水溝にへばりついた髪の毛の方が、まだ可愛い。
「なー、今日は殺さねえの。」
『アンタって、マゾなの？』
彼の眼には、期待も欲も、ましてや恐怖なんて映りもしていなかった。そこに嵌め込まれているのは、意外にも無垢であった。
「いや、好きな子はいじめたくなるタイプ」
物を潰す真似をしながら薄ら笑いを浮かべる彼は、だいぶいい性格をしていると思う。
「ていうか、もう煙草捨てようぜ。」
オレ煙草嫌いだし、と聞いてもいないことを言い始める。私自身が吸うわけでは無い。キミがいつも、家に来ると口寂しそうにしているのを見かねて、常備してある物なのだ。
煙草吸う？と一本差し出した時の、キミの純粋無垢な、花が咲いたような笑顔を今も覚えている。
いわば、煙草は私とキミの思い出の一品なのだ。
机に置いてあるカートンをゴミ箱に放り込もうとしている彼の、無神経さに腹が立つ。
『やめて。今すぐ元に戻して』
「だって、もうアイツ来ないって。もうすぐ死ぬんだぜ？」
デリカシーが無い。
それ以外の言葉が見つからない。
これは彼の素であるのか、計算高いのか。どちらにしろ、私の心に爪を立てる言葉なのは確かだ。
キミ愛用のジッポまでゴミ箱に放り込もうとしている彼の腕を掴んだ。
『アンタ、燃やすわよ。』
脅しのつもりで、そのまま火口を向けたが彼は挑発として受け取ったようだった。
「やってみろよ。」
しかし、初めて彼の額に冷や汗が伝っていた。
彼は余裕の笑みを浮かべているが、どう見ても取り繕っているようにしか見えない。
これは好機だ。
きっと、いや、絶対燃えたら死ぬんだ。
そう確信し、すぐにキッチンへと足を進めた。他の調味料が倒れるのも気にせずサラダ油を取り出した。料理をあまりしないせいか殆ど満タンに近い状態のものだった
そして、彼の顔面に油を浴びせた。
『いいじゃない？水も滴るいい男って感じで。お似合いよ』
ぽたぽたと床に油が垂れている。
シミをつくることもなく、フローリングに弾かれた油が辺りに飛び散るだけであった。
しゅぽ、と皮肉にも軽快な音を立てて火がついた。
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。(プロフ) - ポメさん» 作品を読んでくださり、有難うございます！そこまでストレートに褒められるなんて光栄です。これからもこの作品に乞うご期待を。 (3月27日 23時) (
レス) id: c787972aae (このIDを非表示/違反報告)
ポメ(プロフ) - 言葉に表せないくらいに最高です!!!! 次回の更新も楽しみにしてます！ (3月27日 6時) (レス) id: 8673ceb004 (このIDを非表示/違反報告)
。(プロフ) - あさん» 作品を読んでくださり、有難うございます！褒め言葉で究極とまで言われてしまうとは、嬉しい限りです。これからもこの作品に乞うご期待を。 (3月14日 0時) (レス) id: c787972aae (このIDを非表示/違反報告)
あ - は〜〜〜え〜〜、なんか、何だ、もうあれです、究極的に好き…。楽しく(？)更新頑張ってください、待ってます！ (3月13日 18時) (レス) @page9 id: c9b27d8eb7 (このIDを非表示/違反報告)
。(プロフ) - ヨーグルトさん» 作品を読んでくださり、有難うございます！感想だけでなく、応援まで…モチベーション上がりまくりです！更新は不定期になってしまいますが、乞うご期待を。 (3月11日 23時) (レス) id: c787972aae (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：。 | 作成日時：2024年2月3日 23時
