還る場所。 (ページ15)

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クイナが去った後は喋ることも無くお互いプールの端にある椅子に座り風に揺れる水をじっと見つめている。
沈黙が苦手じゃなくて良かったと心の底から感謝した。

「あと何日？」
「え？」
「び・ざ」

Aは昨日発行されたびざが4日だったのであと3日のはずだと伝えるとチシヤはまた何かを考えるように黙った。

チシヤは思い出していた。
Aを見つけた夜、もう2人男がいた。
ビルの外に付いたゴンドラに1人ずつ乗り込み何かのげぇむをしているのは遠目からでもわかった。
見たところ脱落者はそのゴンドラごと地上にたたきつけられるという何とも痛ましいゲーム。

「残りは3人か。」

地上で土煙を上げているゴンドラを横目に上を見上げると先に1人屋上へとたどり着きどこかへ行ったかと思うとその男が戻ってきたおかげで残りの2人もクリアすることが出来たようだ。
その時、ひときわ冷静でかつ、的確に指示をしていた彼女に目を引いたのだ。

上の方に行けば行くほど声は聞き取りにくくなっていたが全員ゴンドラに乗っている参加者と会話する為に声は大きく状況を把握するには困らなかった。

「とりあえず、彼女に声をかけてみようかな。」

誰かの返事を待っているわけでもなくチシヤは一人そうつぶやくと会場付近まで歩みを進め彼女、Aをスカウトした。

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