ゼロ距離まで【3】

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「お前がボタンを押す必要は無い。汚れ役は俺一人で十分だ。」

先程のつらそうな態度とは一変し、朝のテンションの高い先生が目の前にいる。隼人が持っているボタンは爆弾の装置らしい。
Aと先生が教室にいるとき、美術室ではこれを機にみんなで脱出をしようとしていた。しかし逢沢が先生の協力者だったようで脱出させまいと教室を爆破すると脅す。しかし普段は大人しい逢沢が力で勝てる訳もなく隼人にボタンを取られたようだ。
そしてタイミングよく先生が美術室の扉を開け隼人にボタンを返せと手を差し出した。

隼人はため息をつきソレを投げ返すと先生はなんとか落とさずキャッチをして苦言を呈す。

「もっと慎重に返せ。」

ごもっともだ。
キャッチできたからいいものの、もし落としていたらこの教室ごと本当に爆破して吹っ飛んでしまっていたかもしれない。

「さてと、俺の話はどこまで伝わっている？」
「だいたい伝わっていると思うけど。」
「そうか、ならここから出たいもの。」

恐らく今日の朝地下で先生が話してくれた事の件だ。先生はこの建物から出たいと思っている生徒の顔を一人一人じっと見つめた。

手を挙げている生徒はほんの数人だ。それ以外は残ることに賛成している。きっと中尾達が先生の目的について喋ってくれたからこんなにも残ってくれる人達がいるんだろう。

先生はわかったとだけ言うと唯月をみた。

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